土のうに入れ保管されている焼却灰。通常はシャッターが閉まっている=我孫子市で
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福島第一原発事故による放射能汚染は下水処理にも影響を与えている。県の手賀沼終末処理場(我孫子市)では処理の過程で発生する汚泥を燃やした焼却灰から、国の指針では埋め立て処分ができない値の放射性セシウムが検出された。焼却灰はこの処理場の建物内に仮置きされているが、間もなく満杯になってしまう。 (小川直人)
下水処理の過程で、汚れなどが沈殿して汚泥となる。一日約二十万立方メートルを処理する手賀沼終末処理場では、一日約百五十トンの脱水汚泥が発生。これを燃やした焼却灰は約五トンになる。通常はセメントなどの原料として再利用される。
県が五月二十日に焼却灰を採取したところ、一キログラム当たり二万五○○ベクレルの放射性セシウムを検出した。六月二十九日採取分も一万七五九○ベクレル。一方、県花見川第二終末処理場(千葉市)では五○○○ベクレル前後だった。手賀沼終末処理場は空間放射線量が比較的高いとされる県北西部を流域としているが、県下水道課は「原因は不明」としている。
国が六月に示した考え方では、一キログラム当たり八○○○ベクレル以下の焼却灰は管理型終末処分場で埋め立て処分が可能だ。しかし八○○○ベクレルを超え一○万ベクレルを下回ったときは処理場内などで仮置きすることとされ、明確な処分方針は示されていない。
これに基づき、手賀沼終末処理場は六月十六日から焼却灰の搬出をやめた。大型の土のうに詰めて処理場の建物内に一時保管している。県が処理場周辺で空間放射線量を測定したところ、最大で一時間当たり〇・二八マイクロシーベルト(六月二十九日)だった。
焼却灰は土のう百八十七個分計約八八・二トンに達している(十二日現在)。屋内は今月末には満杯になるという。県は、検出される放射線量の値が低く、埋め立て処分が可能な脱水汚泥のままの状態で搬出する方法を検討している。
脱水汚泥の状態で搬出する場合は、焼却灰よりも量が大幅にかさむため、経費は本年度だけで約十億円増になる見込み。県下水道課の担当者は「脱水汚泥の排出は費用がかさみ、長くは続けられない。国は一日も早く明確な処理方針を示してほしい」と訴えている。
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