牛肉からの暫定規制値を超える放射性セシウムの検出について
牛肉から、暫定規制値を超える放射性セシウムが検出されました。牛肉を食べても大丈夫なのか心配されている方も多いと思います。この件に関わる科学的事実、これまでにわかってきた事実、農林水産省の対応などについて、情報提供いたします。
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- 本件は、収穫後も水田に放置された稲わらが、原発事故による放射性物質の降下によって汚染され、それが牛に給与された結果、牛肉から食品衛生法の暫定規制値を超える放射性セシウムが検出されたものです。
- 原発事故直後に水素爆発などで大量に放射性物質が放出されました。そこで、農水省は3月19日に、原発周辺県に対して、飼料・水・飼養場所等の飼養管理上の注意事項(飼料については、事故前に刈り取り、屋内に保管しているものを使うようにすること)を通知(PDF:132KB)しました。
- 4月14日には、生産した肉・乳が食品衛生法の暫定規制値を超えないようにするために、牧草などの粗飼料給与の目安を決めて通知(PDF:285KB)しました。
- ところで、収穫後から水田に放置されていた稲わらは、牧草など生育している作物(縦に伸び続けている)とは違い、土の上に横たえられているため、降下物を受け止める表面積が大きく、降下の影響を受けやすいものです。
- 2の注意事項に関する指導が十分ではなかったので、原発事故後も水田に放置されていた稲わらが、一部で肉牛に給与されてしまいました。
また、その稲わらの中には、粗飼料給与の目安を超えて放射性セシウムを含むものもありました。
- 現在、畜産農家等に対して2で示した注意事項に関する指導の徹底を図っているところです。また、濃厚飼料の保管についても、適切に行うよう指導します。
- 牛肉が放射性物質をどれだけ含むかには、飼料(放射性物質濃度、給与量、給与期間)のほか、水、飼養場所(屋外か屋内か)等も影響します。
また、放射性物質を取り込んでも、清浄な飼料に切り替えれば、牛の体内の放射性物質は徐々に排泄されていき、濃度も減少していきます。このような排泄によって濃度が半分になる期間のことを生物学的半減期といい、放射性セシウムの場合約60日といわれています。
- このため、牛肉についてはこれまでも検査を行ってきましたが、今後、検査体制を強化することとしました。
- 福島県については、肉牛の出荷制限をかけた上で、
(1) 計画的避難区域、緊急時避難準備区域及び指示のあった区域等については、全頭検査
(2) その他の地域については、全戸(1頭以上)検査
を行い、食品衛生法の暫定規制値を超える放射性セシウムを含む牛肉が流通しないようにします。(詳しくはこちら(PDF:54KB))
- また、福島県以外の周辺県についても、放射性物質の降下量、問題飼料の利用状況等からみて必要な農家・地域を中心に、検査体制を強化することとしました。
- なお、豚・鶏は、その消化器の仕組みが牛とは違うので、稲わらや牧草は消化できません。従って、飼料として穀物やその副産物などが給与されており、稲わらは給与されないのが実態です。(詳しくはこちら(PDF:50KB))
また、これまでの豚肉・鶏肉の検査では、食品衛生法の暫定規制値を超える放射性セシウムを含むものは出ていません。(豚肉79件、鶏肉31件)(PDF:113KB)
- 食品の放射性物質の分析体制についても、各県が所有する機器を増やすために予算措置を講じたところです。
厚生労働省の公定法は、ゲルマニウム半導体検出器を必要としますが、高価(1500~2000万円)で極めて重い(1.5~2トン)ため、どこにでも何台も置けるわけではありません。そこで、スクリーニングのために、より安価に放射性核種ごとの定量ができる簡易スペクトロメータ(250万円、100キロ)の活用も図ります。ただし、メーカーの生産能力との関係もあり、台数の増加には限界があります。
なお、線量計(サーベイメータ)では、外部被曝に関係する放射線量や表面線量は測れても、食品中の放射性セシウム(Bq/kg)は測れません。 (詳細はこちら(PDF:153KB))
(参考)消費者庁「食品と放射能Q&A」(PDF:2,922KB)
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