佐賀県にある玄海原子力発電所の耐震性の評価に使われたデータの一部に誤りがあることが分かり、経済産業省の原子力安全・保安院は、九州電力を厳重注意し、電力各社に対し、データの検証や誤りを防ぐためのチェック体制を報告するよう指示しました。耐震性の評価は原発の新たな安全評価、いわゆるストレステストに必要で、停止している全国の原発の運転再開に影響する見通しです。
全国の原発では、平成18年に見直された国の耐震指針に基づいて周辺の活断層や建物の耐震性を評価し直す作業が続けられていますが、経済産業省の原子力安全・保安院によりますと、今月、玄海原発3号機の耐震性の評価に使われたデータを検証していたところ、3か所で入力の誤りが見つかったということです。このため原子力安全・保安院は、九州電力に対して厳重注意し、ことし10月末までに正しいデータを使って玄海原発3号機の耐震評価をやり直すことや、今月末までに九州電力の玄海原発と鹿児島県の川内原子力発電所のすべてについて同じような誤りがないか確認するよう指示しました。さらに、九州電力以外の電力各社に対してデータの検証や誤りを防ぐためのチェック体制を再点検し、1か月後までに報告するよう指示しました。原子力安全・保安院によりますと、耐震性の評価は定期検査で止まっている原発の運転再開を判断するための新たな安全評価、ストレステストに必要だということです。原子力安全・保安院は、指示した内容の報告を受けるまでは、ストレステストの結果の報告を受け付けないとしており、全国の原発の運転再開に影響する見通しです。この問題で九州電力は、原子力部門などの担当者が福岡市内の本店で記者会見し、「原子力安全・保安院から厳重注意を受けた。関係者の皆様にご迷惑とご心配をかけ、大変申し訳ありません」と陳謝しました。また誤ったデータは委託先が入力し、九電もデータの誤りに気がつかなかったとしたうえで「しっかりチェックすべきで、甘かった。なぜミスを見つけられなかったのか、原因も究明し、再発防止に努めたい」と述べました。ただ、今回のミスがストレステストの開始時期に影響するかどうかについて、九州電力は「国からは特段の具体的な指示は出ていないので分からない」と繰り返しました。