2011年07月22日

東芝SCiB電池

東芝のSCiB電池を採用した電気自動車が出てきた。三菱自動車のミニキャブMiEVと、ホンダのフィットEVである。東芝がアピールしているSCiB電池の特徴は3つ。1)5分間で出来る急速充電。2)6千回以上の充放電回数を持つ寿命。3)マイナス30度でも使用可能な低温性能だ。この3点、メーカーに聞いてみた。

いや、このウチ、急速充電についちゃ聞くまでもない。全く意味を持たないからだ。20kWhもの容量持つ電池に5分で電気を貯めようと思ったら、猛烈な電流を必要とする。何回も書くとおり電気は川の流れをイメージすれば解り易いと思う。ダムの水を急いで満たそうとしたら、どうしたらいいだろうか?

水の量を増やさないとならない。急速充電器と家庭用200V電源の決定的な差もココにある。仮にSCiB電池が5分で充電できる性能を持っていても、現在使われている50kWの急速充電器じゃ無理。入れる電気の量が追いつかないワケです。”超”急速充電器を開発しないとダメ。フィットEVの急速充電時間、30分でした。

6千回の充放電回数も微妙。フィットEVの航続距離は160km以上。話を8割として130km。充電千回で13万km。6千回だと78万km。走行距離より経年変化(普通の自家用車の使い方だと50年以上掛かる)で壊れるかと。そもそもメーカーに聞いてみたら「6千回という寿命は全く確認できていません」とのこと。

ということで低温性能のみ三菱自動車もホンダも高く評価していた次第。エネルギー密度に代表されるその他の性能は若干劣っているとのこと。フィットEVの電池も容量の割に大きくて重い。ミニキャブMiEVも16kWh型と70kgしか変わらず。100歩譲ってLGケムや日産NECに勝てる「安さ」を持っていれば‥‥。

これまた高いそうな。いずれにしろ三菱自動車の東芝採用は「当て馬」的だし、ホンダも本命は他にあるように思える。相当頑張らないとSCiB電池は事業継続出来なくなるだろう。ちなみに東芝のTV『REGZA』の液晶、サムソン製です。本来なら日本勢に頑張って欲しいだが。(国沢光宏)
posted by polishfactory5 at 07:56| 電気自動車