魁聖(右)を上手出し投げで下す日馬富士=愛知県体育館で
|
 |
◇名古屋場所(12日目)
(21日・愛知県体育館)
大関日馬富士(27)=伊勢ケ浜=は初顔の魁聖を上手出し投げで退けて無傷の12連勝とし、単独トップを守った。横綱白鵬は隠岐の海を寄せ付けず1敗を堅持。大関把瑠都は豪風を寄り倒し、大関昇進が懸かる関脇琴奨菊(27)=佐渡ケ嶽=は鶴竜を寄り切って、ともに10勝目を挙げた。小結栃ノ心は負け越した。
日馬富士が優勝モードに突入した。初顔の魁聖を技ありの上手出し投げで下し、初優勝した2009年夏場所以来となる初日からの12連勝。「しっかりと自分の相撲を取りたいという気持ちが強かった」と引き揚げてきた支度部屋でも表情は厳しいまま。2度目の優勝をしっかりと意識している。
充実した稽古に裏付けされた強さだ。師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は「けがをしない稽古をさせた」と話したが、それでも「関取衆と30番、40番稽古をして疲れが見えたらぶつかる稽古を30回くらい」と場所前はハードな稽古を重ねてきた。
場所後の休みにはモンゴルへ帰国する。伊勢ケ浜親方は「治療をしなくちゃいけない。やっぱり地元の治療が合っているのかな。泥を塗ったり温めたり、いろいろあるみたいだね」と帰国を了承している。
10月10日に東京都内のホテルで披露宴をするバトトール夫人と長女のニャムジャラガルちゃんもモンゴルにいる。治療もあるが、家族に会えることが何よりの励みになっている。優勝をお土産に持って帰るつもりだ。
全勝はただ1人。それがプレッシャーなのか気持ちいいのか? と聞かれた大関は「どっちもありますね」と正直な心境を口にした。
ただ、白鵬の8連覇を阻止するのは自分だと思っているか? と聞かれると「まったくないですね」。この言葉は本音を隠しているように聞こえた。 (岸本隆)
この記事を印刷する