宮城のニュース
「サンマの黒酢煮」復活 女川の水産会社「ヤマホン」
 | 新しい調理場でサンマを煮る山本専務=21日午前、石巻市中里 |
|
東日本大震災で被災した女川町の水産会社「ヤマホン」が21日、石巻市内の店舗で営業を再開した。がれきの中から見つかった外部記憶媒体のUSBメモリーに残っていたレシピを基に看板商品「サンマの黒酢煮」を復活させた。開店と同時に大勢の買い物客が訪れた。
同社は創業84年の老舗で、サンマは同町で最も多く取り扱っていた。女川漁港に面した本社工場や冷凍庫8棟は津波で全て被災。約100人の従業員、パート社員は全員解雇せざるを得なくなった。 4月下旬、山本丈晴専務(43)が元従業員と、廃虚になった事務所で書類などを捜していたところ、1本のUSBメモリーを見つけた。外側が壊れ基盤だけになっていたが、復元してみると偶然、加工商品のレシピが残っていた。 顧客からも営業再開を望む声が多く寄せられていた。同社が昨年6月、石巻市中里7丁目に開業した店舗を改修し、調理器具や冷凍庫を備え付けた。宮古市の業者から冷凍サンマを調達し、再開準備を進めてきた。 21日の開店前には買い物客が行列を作った。山本専務は「うれしい限り。女川町の復興にとっては小さな一歩かもしれないが、わが社にとっては大きな一歩だ」と笑顔を見せた。 同社は町内に新たな土地を確保し、工場を再建したい考え。 生鮮サンマの宅配も今シーズン中に復活させようと準備を進めている。
2011年07月22日金曜日
|
|