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パール塗装の実践

張貼者:2009/9/24 上午1:44yicheng sie


パール塗装の実践



★使用するパールについて

当面、このページではMGパール(Micro Grain pearl)とFGパール(Fine Grain pearl)の2種類を使って説明をしていきます. このMG/FGパール、有名模型店でないと入手が困難かもしれませんが、最近ではネット通販でMG/FGパールを取り扱っているところも増えてきました.
また、パール塗料(粉末) は各模型メーカーからリリースされています.MG/FGパールが他のパール塗料(粉末) と違っているのは「粒子が小さい」というただ一点であり、MG/FGパールの粉末自体の物性が 優れているわけではありません.したがって、パール塗装に関してこのコンテンツに 一般性を持たせることができる思います.



★MGパール

MGパールというのは商品名で、このパールは普通のホワイトパールです.このページのトップにある 画像がそれで、粉末状になって売られています.専用の計量スプーンが付属と取説が 同梱されています.

まずは濃度についてです.取説には2通りの顔料濃度が示されています.

(1)クリア塗料10ccに対して、MGパール顔料を計量スプーンすりきり1杯 (以後、「MGパール濃度1」と表記)
(2)クリア塗料10ccに対して、MGパール顔料を計量スプーンすりきり8杯 (以後、「MGパール濃度2」と表記)

※厳密には、塗料の種類により混合比も変わってくるはずなのですが、便宜上どのメーカーの クリア塗料に対しても同様の混合比ということに決めてもそれほど大きな問題は生じません. 私自身はMr.カラー、モデラーズカラー、フィニッシャーズカラーの 3種類で試しましたが、輝度の差異は感じ取れませんでした.

◆MGパール濃度1

この濃度のパール塗料は、下地の上から少量吹くことで軽いきらめきを得ることができます. 下地の色は顔料系ならば有彩色・無彩色を問いませんが、特に下地が黒の場合に効果的なメタリック感 を表現できます.
ガンプラの場合、ビームライフルや内部フレーム等の塗装に使用するとよいと思います.

※無彩色とは白・灰色・黒のことで、有彩色とはそれ以外の色のことです.

サフ→ブラック→MGパール濃度1


肝心なのは一番右の画像ですが、真ん中との区別がつきにくいですね. 実際には黒地に軽くシルバーをまぶしたようになっています. ガンメタルに近いかもしれません.

※パール塗装を画像で正確に伝えるのは非常に困難です.テストピースは参考程度にご覧ください.画像に加えて、できる限り「実物はどう見えるのか」ということを今後も文字で伝えるつもりですが、興味のある方は、是非自分で塗装して確かめることをオススメします.

◆MGパール濃度2

この濃度のパール塗料は、無彩色の上から厚めに塗装するのが基本です.下地が白の場合は本物の 真珠のような深みを持ったホワイトに、グレー&黒が下地の場合は 黒味を含んだ銀になります.有彩色を下地にすると、下地の発色をつぶしてしまう傾向が あるのでオススメできません.
この濃度のMGパールはクリアーに対して多くのパール粉を混ぜているため、光沢は出にくいです. 光沢が欲しい場合はパール塗装後にクリアーを吹く必要があります.

ホワイト→MGパール濃度2

※下地が白の場合は本物の真珠のような輝きが出せます(もちろん本物には及びませんが). この「ホワイト→ホワイトパール」というのがパール塗装の基本中の基本だと思います.

サフ→MGパール濃度2

※下地がグレーの場合の銀はMr.カラーのシルバーに近いですが、金属感がありません.金属感 のある銀が欲しい場合は、素直に金属顔料の塗料を使ったほうが良いです.

ブラック→MGパール濃度2

※理由はよく分からないのですが、下地が黒の場合は塗りムラしやすいので注意が必要です.



★オーバーコート法

◆オーバーコート法・基本編

いよいよ有彩色を塗るための技法に入っていきます.まずはオーバーコート法についてです.
「下地→反射層→着色層」の3層構造で塗る技法をオーバーコート法といいます. 以下、各層について説明します.

▲下地

ホワイト・グレー・ブラックの無彩色を基本とします.パール塗装というと超美麗な下地が必要 に思えるかもしれませんが、サンドペーパーは#800くらいまでで大丈夫です.あまり番手を上げ すぎると塗料(サフ)の食いつきが悪くなるので、#1200くらいまでが無難だと思います.

▲反射層

MGパール濃度2を厚めに塗ります.厚めに塗るのは反射層としてきちんと機能させるためです. 反射層としてならシルバーなどの顔料系塗料もありますが、オーバーコート法に限っては金属顔料の シルバー系塗料よりも断然パールの方に軍配が上がります.理由は主に以下の2つです.

(1)シルバー系塗料は黒味を含んでいるため、着色層で明度・彩度の高い色が出しにくい
(2)着色層を施した時、シルバー系塗料の粒子が目立つ

これら2つの理由は下に載せてあるテストピースを見比べれば明らかです.

▲着色層

染料系塗料(クリアー系塗料)を用いて着色します.クリアー系塗料は吹き重ねるほどに 色味が濃くなっていきます.クリアー(無色透明)を混ぜて色味を抑えるのがコツです.このことに より塗膜は厚くなりますが、塗りムラしにくくなり、つやも出しやすくなります.

以上がオーバーコート法の基本です. それでは4つのテストピースをご覧ください. 着色層のクリアブルーはすべて同じものを使っています.

ホワイト→MGパール濃度2→クリアブルー

※4つのテストピース中、最も明度の高いブルーになりました.明度の高い色味が欲しい場合は 下地をホワイト、反射層にパールを使うと良いでしょう.

サフ→MGパール濃度2→クリアブルー

※下地がホワイトの時よりも暗いブルーに仕上がっていることが分かるでしょうか? 若干の下地の違いですが、最終的な仕上がりもやはり異なってくるのです.

ブラック→MGパール濃度2→クリアブルー

※さらに暗いブルーになりました.

スーパーシルバー→クリアブルー

※シルバー系下地だと、このように粒子が目立ってしまいます. 画像では肉眼で見るよりも派手に粒子が見えてしまっていますが.
色味は画像で見るよりも濃いブルーになっていて、実物は黒下地のオーバーコート法とほぼ同様に なっています.最も黒味の少ないスーパーシルバーでさえこうですから、オーバーコート 法においてはパールを反射層に用いるのが良いというのが分かると思います.

◆オーバーコート法・応用編

パールの下地は無彩色が基本ですが、応用として有彩色を使ってみましょう. この場合、下地の色は着色層と同じ色相の色を使うのが自然です.下地の顔料系を有彩色にする ことで、エッジなどの色味が薄くなるのを防ぐ効果もあります.

インディブルー→MGパール濃度2→クリアブルー

さらに応用として、着色層のクリアーと異なる色相の色を下地とする方法もあります.青と赤で紫を 作ったり、青と黄色で緑を作ったり、などです.しかし、この技法はかなり難解です.下のテストピースをご覧下さい.

モンザレッド→MGパール濃度2→クリアブルー

紫色になることを期待して上のような工程でカラーテストしてみましたが、得られたのはにごった青 でした.前述した通り、顔料濃度の高いパールは有彩色を下地にすると下地の発色をつぶしてしまう 傾向があります.
そこで、MGパールの顔料濃度を落として、他の条件は同じにして テストしてみましたが、得られたのは同じようなにごった青でした.
後から思ったのですが、クリアブルーにクリアーを混ぜて、着色層の色を薄くすれば紫色が出来たかもしれません.
ですが、「オーバーコート法において、着色層と異なる色相の有彩色顔料系塗料を下地にする技法」 には、手を出さない方が無難だと思います. 実践する場合はカラーテストしてから本番に臨むことをオススメします.



★着色パール法

◆着色パール法とは

ホワイトパールを用いて有彩色を塗るもう1つの技法として、着色パール法があります.パール塗料に直接色を付けてしまう技法が着色パール法です.

濃度2のMGパールに色を付けるわけです.実際に何を用いて着色すればよいのかという ことに関しては、色々と理由があるのですが、結論を先に 書いておきますと、モデラーズカラーのブルー・バイオレット・イエロー・レッド・グリーン の5色を用いるのがオススメです.

以下、理由を示します.
まず、染料系塗料と顔料系塗料のどちらで着色するのが良いかということですが、これについては 下の表をご覧下さい.

染料系塗料
顔料系塗料
パールの輝きを失いにくい
パールの輝きを失いやすい
塗料を上掛けするとにじむ
塗料を上掛けしてもにじまない
マスキングゾル使用不可
マスキングゾル使用可能
塗りムラしやすい
塗りムラしにくい

顔料系塗料が劣っているのはパールの輝きを失いやすいという一点のみですが、パール塗料に対して それほど大量の顔料系塗料を混ぜなければ充分な輝きが残ります(このあたりの感じ方は人それぞれ ですから、”充分”というのはあくまでも私個人の主観ですが).
染料系塗料で着色するのはナンセンスとまで言う気は無いです.私はやらないというだけ のことです.

次に、顔料系塗料の中でも、 何故モデラーズカラーの5色なのかということを説明します.
上 の表で述べたように、「パール塗料に 顔料系塗料を混ぜたときにパールの輝きが失われやすい」性質がありますが、 これは、顔料系塗料に白が混ざっている場合に特に顕著になります.しかし、ほとんどの模型用 塗料には白が混ぜられているのです.模型用塗料で最もメジャーなMr.カラーでは、ブルーを除く顔料系塗料には白が混ぜられています.なぜ白を混ぜてある かというと、単一顔料からなる純色はやたらと彩度が高い反面、隠ぺい力がほとんどないため、塗料として使いにくいのです.そのため、白を混ぜることにより 隠ぺい力を確保しています.

模型用の塗料で純色は現在までのところ前記のモデラーズカラー5色とMr.カラーのブルーだけのようです. これらの塗料を使って着色すればパールの輝きが失われるのを最小限に抑え、色がくすむのを防ぐ ことができます.
以上、長くなりましたが何故モデラーズカラーの5色を使ってパールを着色するのが良いのかという 理由を示しました.

オーバーコート法はパールを染料系塗料でコートするためパールの粒子が目立ちにくいのですが、 着色パール法はパールが最上層に出てくるため、粒子が目立ちやすいという欠点があります. 着色パール法のポイントは粒子の細かいパールを用いて塗面に粒子感が出るのを防ぎ、それを限界まで 多量に混ぜることにより顔料系塗料による輝きの低下を抑えることです.つまり、できるだけ 粒度の細かいパール粉末が必要となります. 現在、一般のモデラーが容易に入手可能なパール粉末の中で最も粒度の小さいのはMGパールです.

◆実際の調色に際して

モデラーズカラーで着色する場合、MGパール濃度2はモデラーズの「スーパークリア」と専用シンナー を使って作ります.異なる種類の塗料、異なるメーカーの塗料を混ぜ合わせるのは基本的に NGです.

5原色のみで色を作るため、思い通りの色を正確に作るのはかなり困難です.



上に「色の三原色」を示しました.参考程度にどうぞ.

実際には少量のMGパール濃度2を計りとって塗料皿などに移しておき、そこにスポイトでモデラーズ カラーを滴下していきます.もちろん色が混ざらないようスポイトは1色につき1つずつ使用しなけれ ばいけません.各色の滴下数を記録しながら調色し、欲しい色味が出たらストップします.
そして、後は同様の混合比で大量に作り直すという方法を採るのが良いでしょう.これなら調色に失敗 しても捨てる量も少ないので簡単にやり直すことができます.捨てなくても、MGパールを足すことで 色を薄めることができるのである程度のやり直しが効きます.
初めから大量のMGパールを着色して いくと、失敗してMGパールを足すにつれてどんどん収拾がつかなくなっていきます.

顔料系塗料を混ぜすぎるとパールの輝きが落ちるということを前述しました.また、もともとホワイト (パール)に色をつけていくわけですから、どんなに顔料系塗料を混ぜても一定以上の濃さの色は 出ません.
そこで「黄色以外の原色:パール=1:1」「黄色:パール=1:2」 が最大限度(いずれも体積比)と石川氏は決めていらっしゃるようです. 白がパールの輝きを落とすということは前述しましたが、黄色は白の次にパールの輝きを失わせる 力が強いのです.黄色の着色パールを作る際は十分注意しましょう.

実際には5ccのMGパールに対して数滴の原色で充分色がつきます(使用するスポイト次第で1滴あたりの 体積が異なりますので「数滴」という記述をあまり信用しないで下さい).

◆着色パール法の下地

原則としてホワイトが無難です.下地が黒だと着色パールの明度が落ちるだけでなく、色相まで変化 してしまう場合があるので注意が必要です.何度も記述していますが、顔料濃度の濃いパールは下地の有彩色の発色をつぶしてしまうため、有彩色の下地は特別な意図が無い限りしない方が良いです.

以下がテストピースです.下地はすべてホワイトです.

MGパール濃度2を1ccにつき、レッド1滴

MGパール濃度2を5ccにつき、イエロー2滴

MGパール濃度2を1ccにつき、ブルー1滴

MGパール濃度2を5ccにつき、バイオレット4滴

※黄色と赤があまり光っているように見えませんが、実物はどのピースもだいたい同じような輝き をしています.ただ、MGパール濃度2は前述したとおりクリアーに対して多量の粉末を混ぜているため 光沢は出にくいです.光沢が欲しい場合はクリアコートしましょう.



★FGパールとは/FGパールの発色原理

FGパールというのは商品名で、一般には虹彩色[こうさいしょく]パールと呼ばれる物です. まずはMGパール(ホワイトパール)との違いを説明します.

チタニウム・マイカ系のホワイトパールの粉末は「酸化チタン被覆雲母」といって、雲母という岩石の微小片の表面に酸化チタンをコーティングさせたものです.MGパール(ホワイトパール)は全ての可視光線(波長400~700nm)を均一に 反射するため、赤橙黄緑青藍紫の光の重ね合わせとして、人間の目には白く見えます.

※チタニウム・マイカ系以外のパール塗料も存在しますが、現在のところ、通常の方法で一般人が購入することは出来ません.

一方の虹彩色パールは、酸化チタンのコーティングの厚みを変化させることにより、特定の波長の 光のみを反射させます.以後、青の虹彩色パールに限って話を進めることにします.
この時、青い波長の光のみが反射されます.では他の波長の光はどうなるのでしょうか. 下の式をご覧下さい.

(透過率)+(反射率)+(吸収率)=1


という式が成立します.この式は一種のエネルギー保存則といえますが、直観的にも明らかに 成り立つ式でしょう.要するに、光が物体に当たった時、 吸収されたり、透過したり、反射したりしますが、それ以外の要素はないということです.

つまり、青の波長の光は反射されますが、他の可視光領域の光はすべて透過されます.

※虹彩色パール層での光の吸収はないと考えてOKです.

染料系塗料→光を透過または反射
顔料系塗料→光を吸収または反射

と考えてください.
さて、このとき、下地の色によって見え方が大きく異なることになります.

(1)下地が白のとき、透過されてきた光は全て反射します.この時、パール層を往復した分だけ 光の強度が落ちるため、青以外の光の強度は弱まり、初めにパール層で反射した青い光と合わせると、 合計でほのかな青色が人間の目に映ることになります.

(2)下地が黒のとき、透過されてきた光は全て吸収されます.したがって、最終的に反射されるのは 初めにパール層で反射した青い光のみなので、人間の目には強い青色が映ることになります.

光というのは重ねるほどに色味が薄くなるという事実を念頭に置けば上の (1)(2)の記述を理解しやすいと思います.

ソリッド色の下地が大原則なので、この場合下地において

(反射率)+(吸収率)=1

の式が成立します.要は下地の色をコントロール することにより、下地における反射率(吸収率)の割合を変え、最終的に人間の目にどう映るかを 変化させることができるわけです.
このように、光の干渉によって発色するため下地の顔料に虹彩色の補色がかって見える 傾向があります.これは下地がホワイトの時に特に顕著です.


※FGパールの補色

イエロー→青紫 レッド→緑 ブルー→黄 グリーン→赤 ライラック→黄緑

◆虹彩色パール同士の混色

以上に述べた虹彩色パールの発色原理を踏まえれば、虹彩色パール同士を混ぜると必ず色味が薄れるということが理解できると思います.以下に光の3原色の図を示します.



上の図を見れば分かるように、緑、青、赤の虹彩色パールを等量ずつ混ぜると、出来上がるのはただのホワイトパールになってしまいます.
特別な理由がなければ、虹彩色パール同士の混色はやめたほうがいいでしょう.



★FGパール・基本編

顔料濃度はMGパール濃度2と同様の混合比を原則とします.クリア塗料5ccに対し、付属の計量 スプーンですりきり4杯です.

まずは、下地を無彩色にして虹彩色パールの使い方に慣れるとよいでしょう.

下地が白の場合は透明感を持った仕上がりになりますが、発色効果は薄いです.
下地が黒の場合はよく発色しますが、透明感はありません.
下地がグレーの場合は発色効果、透明感の両方が出せますが、双方共に強く出すことはできません. そのバランスはグレーの濃さによって変化します.


ホワイト→FGオパールブルー

サフ→FGオパールブルー

ブラックー→FGオパールブルー


簡単な応用として、有彩色を下地にしてみても構いません.
まずは下地と虹彩色で同じ色相にしてみましょう.
得られる色味の予想がしやすく、ビギナー向けの方法と言えます.

インディブルー→FGオパールブルー

下地と虹彩色で異なる色相を使うのも良いでしょう.
この場合、面白い効果が得られることが多いのですが、得られる色味の予想がしにくいため、事前のテストが必須になります.

モンザレッド→FGオパールブルー

※ローズ系のピンク(青味を含んだピンク)が見えていると思います.これは、光が当たって青の虹彩と下地の赤との重ね合わせが見えた結果です.
この画像では分かりにくいですが、下地と虹彩色の色相を変えると、角度によって見え方が大きく変わるため、非常に面白い効果が得られます.



★顔料+虹彩色パール法

虹彩色パール使用の応用例として、虹彩色パールと顔料系塗料を混ぜて使う技法があります.
技法名は今私が勝手に命名しました.

虹彩色パールの発色原理は光の干渉現象を利用したものであり、通常の塗料とまったく異なります.
そのため、このようなイレギュラーな使い方はビギナーにはオススメできません.

このページを最初から読んでいる方には察しがついていると思いますが、この技法はいわば「着色パール法の虹彩色版」です. この技法と通常の着色パール法との違いを考えてみると、それぞれの技法に適した色味(混色)が見えてきます.

▲着色パール法

ホワイト(パール)を着色するため、明度の高い色(黒味の少ない色)の表現に適していると考えられます.

▲顔料+虹彩色パール法

淡色系の表現は通常の着色パール法が得意です.したがってこの技法は、着色パール法の苦手な明度の低い色(黒味を含んだ色)の表現に適していると考えられます.

つまり、グレーや黒に虹彩色パールを混ぜて使うのが有効な利用法だと思います.ガンプラなら、関節、内部フレーム、ビームライフル等に.

ブラック+FGオパールブルー



★JAFCON9の金賞ザクの塗膜構造

ここでは、JAFCON9のガンプラ部門で金賞を受賞された、石川雅夫氏のザクの塗膜構造について述べます.
この塗膜構造は、MGパール(ホワイトパール)とFGパール(虹彩色パール)を非常に上手く併用しており、これら2種のパール顔料のみを用いる限りにおいては、これ以上の技法はなさそうです.
では順番に述べていきます.

1層目…サーフェイサー
表面処理の一環としてサフを吹きます.特別な意図があるわけではありません.サフをパテと解釈する人もいますし、そもそもサフなど使わない人もいますので、自分の塗装スタイルの通りにすればよいでしょう.
2a・2b層目…顔料系下地
基本色と同じ色相かつ 彩度の高い色をシャドウ色としてパーツ全体に塗装(2a層)した後にホワイトを面吹き(2b層)し、かなりキツいグラーデションをかけます.これらの層 は、3層目の着色パール層の下地になる部分です.ここでつけるキツいグラデーションは、着色パールを塗装することにより、落ち着いたグラデーションになり ます.
グラデーションが必要ない場合は、この層はホワイトべた塗りでOKです.
3層目…着色パール
MGパール濃度2を用いた着色パール法で、パーツ全体をべた塗りします.ここが基本色となる部分です.4層目もありますので、着色に染料系塗料を使うと次の層でにじんでしまいます.ここはやはりモデラーズカラーを使うのがベストです.
4層目…虹彩色パール
FGパール濃度2をパーツ全体にべた塗りします.基本色と同じ色相を使うのが基本ですが、異なる色相の虹彩色パールを使っても面白い効果が得られます.いずれにせよ、カラーテストをしてから本番に臨むことをオススメします.
着色パールの後に虹彩色パールで塗装するというのが、この塗膜構造の一番のポイントです.
5層目…クリアー
石川氏本人は虹彩色パール層で塗 装を終わらせているようですが、私は最後に光沢を出すためのクリアー塗装をしています.石川氏は、その卓抜した塗装技術のため、クリアーを吹かなくても、 クリアーを吹いて研ぎ出ししたような光沢を出せるのです.私はそんな技術は無いので素直にクリアーを吹いてから磨いています.


1層目…ホワイト(モールド部分はブラック)
2層目…着色パール(バイオレット)
3層目…FGパール(青)
4層目…クリアー

画像では分かりにくいかもしれませんが、紫と青の輝きが同居する、面白い効果が得られました.
もしよろしければこちらから全体をご覧ください.



★このページの今後の予定

情報が古くなってしまったものについては、気がつき次第修正しますが、基本的にはこれで終了します.
他の種類のパール塗料を、一般のモデラーでも容易に入手可能な状況になれば、それらのパールについてウンチクやテストピースを載せていくつもりです.

2004年9月 gou


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