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東日本大震災:水産加工業者が連合会 水揚げ自粛150社、東電に賠償請求へ /福島

 福島第1原発事故の影響で水揚げを自粛しているいわき、相馬、南相馬市、双葉郡内の水産加工など150業者が県水産加工業連合会を結成し、今月中にも東京電力に損害賠償請求する方針を固めた。国の第2次指針で漁師は補償の対象となったが、加工業者らについては対応が未定。これまでは業態や扱う品目などもさまざまで、個別に活動していた業者や組合が補償を求めて立ち上がった。

 「人と魚を返してほしい」と訴えるのはいわき市四倉地区の水産加工品店「大川魚店」副社長、大川勝正さん(36)。震災で店舗が全壊し、二重ローンを組んでまで3月25日に再開にこぎつけたが、原発事故の影響が重くのしかかる。

 店は原発から約35キロ離れていて避難区域を外れたが、客の3割は区域内の住民で客足が大幅に減った。他県産や外国産の魚で加工・販売を続けているが経営は厳しい。

 各地で開かれる被災地復興キャンペーンに出品を要請されるが、出荷のたびに商品の放射能検査を暗に求められる。1検体あたり2万円以上の検査料は価格に転嫁できない。

 店頭や通信販売向けの商品でも、客に安心してもらうため、ひんぱんな検査をしなければならない。中には冷蔵用の氷にまで検査を求められた業者もあるという。大川さんは「せめて検査料だけでも補償してほしい」と話す。連合会の結成を呼びかけた小名浜水産加工業協同組合の小野利仁組合長(54)は「もう開き直るしかないような状態で、放置すれば自殺者も出かねない」と窮状を訴えた。

 いわき市漁協の矢吹正一組合長(74)は「出荷業者や氷屋、加工業者があって初めて漁業が成り立つ。我々漁業者と同様に早い段階で国が動いてほしい」と請求を後押ししている。【高橋隆輔】

毎日新聞 2011年7月21日 地方版

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