民主、自民、公明3党は21日、福島第1原発事故の被害者への賠償金を国が立て替える「原子力損害賠償仮払い法案」の修正協議を行い、野党5党提出の原案通り、国に仮払いを義務付けることで大筋合意した。東京電力の賠償を国が支援する「原子力損害賠償支援機構法案」も、民主党は自公両党が求める修正を受け入れ、22日に両法案の同時決着を図る考えで、2法案は26日にも衆院を通過する見通し。
機構法案は、政府と原子力事業者(東電と東電以外で原発を持つ電力会社)が出資して設立する支援機構が東電に資金を支援し、東電が被災者に賠償金を支払う内容。機構は国からの交付国債や金融機関からの融資の他、原子力事業者の負担金で運営する。
自公両党は21日、機構法案の修正項目について一致。国の責任の明確化を求めるが、法案への明記にはこだわらず、付帯決議や国会答弁で担保することも認める方向だ。東電以外の電力会社が機構に拠出する負担金は、新たな事故発生に備え、福島第1原発事故の賠償支援とは別勘定で管理する。ただ、当面は他社の負担金も東電の賠償支援に充てることを認め、賠償総額の見通しがついた段階で見直すとした。
電力料金への安易な転嫁を防ぐため、東電の株主や取引銀行の責任を問うことも盛り込む。電力会社が無限責任を負う原子力損害賠償法は、賠償額に上限を設けるなどの法改正を求める。
自民党の「原発事故被害に関する特命委員会」の額賀福志郎委員長は、同日の党合同部会で修正点の内容を説明。「今週中に一定の形を作りたいので協力してほしい」と述べ、了承された。
一方、民主党も法案の早期成立に向けて、自公両党に大幅に歩み寄る構えだ。安住淳国対委員長は同日、記者団に「来週早々には目鼻がつくのではないか」と楽観的な見通しを示した。与党は機構法案と仮払い法案を、26日にも衆院東日本大震災復興特別委員会で審議し、早ければ同日中に衆院本会議で採決。8月上旬の成立を目指している。【念佛明奈、横田愛】
毎日新聞 2011年7月21日 21時58分