内閣府原子力安全委員会の班目春樹委員長は14日、臨時会議後の会見で東京電力福島第1原発から半径20~30キロの範囲に定められている緊急時避難準備区域解除の条件として、浄化した汚染水で原子炉を冷却する「循環注水冷却」のシステムが安定稼働する必要があるとの見解を示した。
班目委員長は、水漏れなどで再三、運転が中断している冷却システムについて「普通の原子力施設の装置と比べるとはるかに脆弱(ぜいじゃく)」と指摘。「内的要因か地震などの外的要因で一定時間失われる可能性があり、そういう時でも本当に緊急時避難準備区域を解除していいのかしっかりとした説明が行われるべきだ」と述べた。
同区域については、細野豪志原発事故担当相が事故収束に向けた東電の工程表のステップ1が終了する7月17日の段階で「原子炉の冷却機能が安定し、水素爆発の危険性がない」ことを条件に解除できるとの見通しを示している。
また、原子炉から半径8~10キロを原発事故の「防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲(EPZ)」と定めている防災指針を見直す原子力安全委の防災専門部会が14日、開かれた。EPZ外に放射性物質が拡散した今回の事故を踏まえ、部会では設定範囲を拡大する方向で見直し、今年度中に結論を出す方針。中込良広部会長は「早く結論を出せるものは前倒しで出したい」と述べた。部会の委員からは「範囲を一律に広げればいいのではなく、地方ごとに対応できる基準を設定すべきだ」との意見が出た。【比嘉洋】
毎日新聞 2011年7月14日 19時32分(最終更新 7月14日 19時44分)