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平成の「悪党」はこう作られた

菅首相は独裁者を気取る前に 「原発は国民投票で決める」と言うべきだった - どん・わんたろう

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 「議論なんて全く無意味だ」なんて、いかにも反原発派らしいご意見が当コラムにも寄せられているが、民主主義の国だったら、少なくとも、まずはどの主張も尊重しなければいけないのは当然の理である。そのうえで、異なる意見の人と同じ土俵で議論し、互いにある程度納得しあって方策を決めるのが、まさに「政治」というものだろう。菅氏には、それが全くわかっていない。

 加えて、国民を味方につける術を模索した形跡が見られない点でも、本当にバカだなと(失礼ながら)思う。だって、民主党にも野党にも官僚にも財界にも賛同されず、それでも自分の思いを貫きたいと本気で考えているのだとしたら、頼れるのは国民しかないじゃん。逆に言えば、国民の多数意思が脱原発だってことが目に見える形で、要は数字で、はっきり示されれば、「菅さんの言っている通り進めよう」っていう大きな根拠になる。原発推進・容認派だって反論できないだろう。

 菅氏は、脱原発宣言をする前に「原発のあり方は国民投票で決めよう」と言うべきだった。原発以外の要素も影響してしまう選挙より、原発に対する正確な民意を反映するためには国民投票である。「日本で初めての国民投票を実現させた首相」なんて枕詞、かっこいいと思うけどなぁ。

 私が原発の是非を国民投票で決めたいと考える理由については、6月の当コラムにも書いたのでご覧いただきたい。肝の部分を再録する。

 「将来の日本社会のありように、私たちの生き方に、密接にかかわってくる原発政策について、反原発、原発容認の両派が『国民投票』という同じ土俵に乗る。たとえば原発をなくすことの、あるいは原発を存続させることのメリットやデメリットをめぐり、データに基づいてわかりやすく主張を展開し合い、討論し、訴える。そうした議論を国民一人ひとりがしっかり受けとめ、深く考え、結論を下す。今のような両派の言いっ放しではなく、政治家が一方的に決めるのでもなく、国民自身が自らの意思で方向を決めるのだ」

 実際に国民投票を実施するとなれば、法律を制定する必要がある。国会議員の間には、国民投票は間接民主制を否定するなんて考える人も多いから、一筋縄では行くまい。

 でも、提唱されているのが法的強制力を持たない「諮問型」と呼ばれる方式でもあり、賛同の輪は静かに広がっている。民主党内には、反原発・原発推進の立場を超えて「原発・国民投票」の実現をめざす議員連盟が21日に発足する。市民団体も活動を始めた。

 原発という極めて大事なことを、もはや政治家に任せてはおけない。首相が演じた今回の茶番劇で、その思いを強くした。国民投票へ向けた今後の動きを、少なからぬ期待をかけて見守っていきたい。
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