【社説】済州道を「東アジアの宝石」とするには

 韓国政府は2002年から10年間で35兆3700億ウォン(約2兆6330億円)を投資し、済州道に観光・レジャー・文化を楽しめる国際自由都市を建設する事業を進めている。この計画により、これまで空港や港湾などのインフラ整備や、ゴルフ場の造成といった民間の開発事業に総額13兆ウォン(約9700億円)が投じられた。しかし今のところ、目に見える成果は出ていないようだ。また、事業の目玉といえるレジャー型の住居地区、神話と歴史の公園、西帰浦観光港湾、ヘルスケアタウンの建設など、計6分野の事業に対する投資実績は、目標額とする6兆5000億ウォン(約4840億ウォン)のおよそ10%に当たる、6600億ウォン(約492億円)にとどまっている。事業の将来性について企業が確信を持てず、投資の誘致が思うように進んでいないからだ。

 済州国際自由都市は、済州道を香港やシンガポールなどに匹敵する観光型の都市に作り上げるという構想からスタートした。政府は国防と外交以外のあらゆる権限を済州道に与えるとして、2006年に「済州特別自治道特別法」を制定し、昨年までに政府が有する3800の許認可権を済州道に引き継いだ。済州道はこれまで、法人税率を香港(17%)や中国・上海の浦東(15%)と同じレベルにまで引き下げることや(現在は25%)、観光客が済州道で購入する物品やサービスにかかる税を免除し、外国の航空会社が自国から済州経由でソウルに行けるようにする航空自由化などを求めてきたが、いずれも現時点では実現に至っていない。とりわけ税に関しては、シンガポールや香港は3種類か多くても4種類しかないが、済州道では国税と地方税を合わせて31種類もの税が、さまざまな名目で徴集されている。政府と済州道は、1日も早くこれらの問題を解決しなければならないだろう。

 現在、済州道には空港と港湾に3カ所の韓国人専用免税店がある。これらが設置された目的は、観光客を誘致することで得られる収入を、済州国際自由都市の開発に振り分けるためだ。また済州道には現在、外国人専用カジノが8カ所あるが、済州道民以外の韓国人も利用できるカジノの建設についても検討されている。しかし、このような計画は別の地方自治体から反発を招く恐れがある。また西帰浦市江汀洞で予定されている海軍基地の建設も、一部市民団体の反発により進んでいない。これらの問題は済州道の発展を支援するという国民世論の形成にも障害となっている。

 中国政府は2010年から10年間に650兆ウォン(約48兆4000億円)を投入し、海南島を「東洋のハワイ」とする事業を着々と進めている。マカオの人口は済州道(57万人)とほぼ同じおよそ50万人だが、1年間に訪れる観光客は3000万人を上回る。済州道はマカオの60倍もの面積を誇り、カジノだけが売りのマカオとは異なり、さまざまな観光資源を豊富に備えているが、済州道を訪れた外国人観光客は、昨年1年間を通じてわずか78万人だった。済州道を「東アジアの宝石」とするには、今こそ奮発すべき時だ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
関連記事
記事リスト

このページのトップに戻る