雁屋哲の美味しんぼ日記


再開予告

2011年7月20日(水)@ 0:27 | 雁屋哲の美味しんぼ日記

長い間、お休みしていましたが、ブログを近々再開します。

ただ、これまでは「美味しんぼ日記」と言う名前でしたが、日記に書く内容が全然「美味しんぼ」と関係ないではないかと言うご意見も強くあったので、題名を「雁屋哲の、今日もまた」に変更します。

食べ物、美味しいものについても書きますが、私が日常的に考えている事を、他人迷惑を考えずに、書きます。

URLは今まで通りです。

以前、皆さんがブックマークなどされていた「美味しんぼ日記」をクリックすれば、新しい「雁屋哲の、今日もまた」に入ります。

その後、ブックマークの名前を「雁屋哲の、今日もまた」に書き換えて頂ければ、何の問題もありません。

現在、新しいページの構成・デザインに取りかかっているので、新しい装いが整い次第、再開します。

ごひいきのほど、よろしくお願いします。

てなことで、再開後挨拶で終わってしまうのも、物足りない。

二つばかり、語りたい。

1)これは、もちろんサッカー大好きな私としては見逃せない、「なでしこジャパン」のワールドカップ優勝の件だ。

正直に言って、私は女子のサッカーを今までまともに評価してこなかった。

走る時に、両腕を前後に振るのではなく、胸の前で横に振るような女子に、サッカーなど出来るかと思ったのである。(実際に、日本対スウェーデンで最初に点を入れたスウェーデンの選手は、喜んで自陣に帰る時に、両腕を胸の前で振る、「女の子走り」をしていた)

ところが、今回、「なでしこ」が、決勝リーグに進んでから、テレビを見始めて、私の認識が間違っていた事を痛感した。

私は、やはり、男性優位の観念に囚われた古い人間だったのである。

「なでしこ」の戦いを見ていて、私は、これこそサッカーだと思った。

サッカーは、肉体的な強さも大事だが、それ以上に、頭脳的な戦略が決定的に大事である事を「なでしこ」は示してくれた。

もちろん、肉体的な鍛錬が元になっている事は当然であるが、「なでしこ」たちの戦いは、パス回し、位置の取り方、その全てが知的な戦略に基いていて、これこそサッカーの醍醐味だ、と思わせてくれた。

最後の三戦、対ドイツ、対スウェーデン、対アメリカ、その何れも幸運に恵まれたとは言え、「なでしこ」の知的な動き、何が何でも守りきる心意気、この二つが満ちあふれていて、「なでしこ」ひいきと言う点からを離れて、純粋にサッカーのゲームとして見ていても素晴らしく面白かった。

しかしねえ、勝つと負けるとは、天国と地獄の差だね。

試合後、アメリカの選手たちは、うちひしがれ、目を真っ赤にしてただ事ならぬ雰囲気だった。

それに反して「なでしこ」たちは、はしゃぎ回っている。

やはり、勝負というもはどんな物にせよ、勝たなければ駄目だと痛感した。

私は、連れ合いと二人の娘たちを毎日相手にしていて、「女性には敵わないな」と思っていたが、こんどの「なでしこ」の活躍を見て、日本の女性は本当に凄い、と納得した。

「なでしこ」良くやった。うれしい。こんなにいい気持ちにさせてくれて有り難う!

2)放射能汚染された福島産の肉牛が7月19日現在、700頭以上が出荷され、そのかなりの部分がすでに市場に出回っている事が明らかになった。

おかげで、牛肉を敬遠する人が増え、焼き肉店も窮地に陥っているという。

私は、政府の、福島産の肉牛に対する態度が理解できない。

一体何を考えているのか。

BSE(いわゆる、狂牛病)問題の際、日本はアメリカに、肉牛の全頭検査を要求した。

ところが、今回、福島の肉牛に対しては全く検査をしなかった。

その結果、最終段階の消費者の口に入るところで、放射能汚染が確認されて、大問題になった。

BSE問題の時に、アメリカに全頭検査を要求しておきながら、当然問題が出ると思われる福島の肉牛に対して何の処置も取らなかった、不合理で自分に都合の良いように基準を決める日本の態度は、全世界的に大きな問題になるだろう。

すでに、シンガポール、イタリアなどでは、日本からの食品に対して輸入禁止処置を取っている。

私はこれまで、そう言う外国の態度を「愚かな風評に惑わされている」と馬鹿にしていたが、今回の肉牛に対する政府の態度を見ると、シンガポールやイタリアは正しかったと言わざるを得ない。

放射能汚染食物に対する処置が、こんなにいい加減な国から、誰が食べ物を輸入するか。

こんな国からの食物の輸入を禁止した国に対して我々が何を文句が付けられようか。

一番の被害者は、福島県の肉牛肥育業者である。

彼らは、牛に与える乾し藁の放射能問題を県などから何も聞いていないと言う。

それが、いきなり、「あんたのところの牛は放射能汚染されているから出荷停止」と言われたのだ。

こんなめちゃくちゃな話があるだろうか。

普通の肉牛肥育農家にとって、乾し藁と放射能汚染の関係など、考えもつかない事だ。

それも、当然の事で、肉牛肥育農家は放射能汚染などと言う事自体、今まで経験もした事がないので、乾し藁を餌として与える事の危険性など想像も出来なかった事だろう。

事実は違う、農水省などは、ちゃんと乾し藁の放射能問題を掴んでおきながら、それをきちんと、各個別の肉牛肥育農家に伝える事を怠っていたのだ。

もし、早めに、乾し藁の放射能問題を個別農家に伝えておけば、農家も肉牛に乾し藁を与える事は無かっただろう。

そして、もし早めに、個別の土地の肉牛の放射能汚染が検知できていれば、その個別の場所の肉牛を出荷停止にせざるを得ないが、安全な肉牛は他の土地には当然あるので、福島県全体の肉牛の出荷停止と言う事にはならなかった。

怠慢なのか、問題を起こしたくないという隠蔽体質なのか、農水省は大事な肝心の情報を個別肉牛肥育農家に伝えず仕舞いになった。

その結果、汚染した肉牛だけでなく、被害は福島全県の肉牛に広がり、ひいては消費者の牛肉離れを引き起こし、社会に大打撃を与えた。

そして、世界的に、日本の食べ物に対する信用は失われた。

これから、日本の食品の輸入を禁止する国が増えることは予想される。

本当に我々日本人は愚かすぎないか。

原発事故も、既に人災による事が明らかになっている。

今回の福島県産肉牛の問題も明らかに、農水省の役人共による人災である。

原発を監督する経産省、食品を監督する農水省、これらの官庁の役人共にはその責任を厳しく取らせる必要がある。

こう言う役人共の頂点は、国家公務員試験などを高得点で通過した試験秀才たちである。

先の大戦で日本を破滅に追いやったのは、高等文官試験の高位合格者の官僚たち、陸軍大学を優秀な点数で卒業した軍官僚、いわゆる試験秀才ばかりだった。

試験秀才は、模範解答のあるような問題には上手く対処する。

それは当たり前だ、採点する方はその模範解答に合わせて点を付けるのだから。

そんな試験で高得点を取ったからと言って、それが実用になるか。

試験秀才は、模範解答にないような未知の問題に遭遇すると何の力も発揮できない。

日本が戦争に突入したのも、惨めな負け方をしたのも、全部その試験秀才たちのおかげである。

かれらは、生き物であり、模範解答の存在しない現実の動きに対処する能力がなかったのだ。

現在、軍官僚は存在しない。

いるのは、財務省、経産省、農水省などの官僚である。

この20年間、日本の経済を衰退させ続けて来た財務省、経産省の役人共は、戦前の内務官僚、軍官僚同様の試験秀才でしかなく、実際の未知の事態に対応する能力はない。クズであることを示した。

今回、原発の事故で,経産省の役人共のクズさ加減が更にはっきりした。

それに加えて、今度の福島の肉牛問題である。

農水省の役人共もクズだ。

経産省も農水省もその頂点にいるのは東大法学部出身者だ。

日本経済のバブルがはじけて、国民全部が苦しんでいる最中に「なんとかシャブシャブ」(なんとか、のところに入れる言葉は知っているのだが、流石に私はこのページではその言葉は書けない。)でお馬鹿な接待を受けていた事件の時にも、当時の大蔵省のトップの人間達が関わっていて彼らが全員東大法学部の出身者だった。

前にも書いた事だが、一つの大学の一つの学部でこれだけ日本の社会に害をなしているところは他にない。世界中見回しても、こんな大学、こんな学部はない。

東大法学部の教育方針に決定的な欠陥があるに違いない。

東大法学部は廃部にするべきである。

それが出来なかったら、東大法学部出身者は官僚として採用するべきではない。(明治以降の官僚育成政策から、必然的に東大法学部と言う物が生まれたのだし,東大法学部あってこその日本の官僚制度なのだ。となると、日本という国のあり方まで、問題になってくるね)

ええと、再開予告のはずが、何だかまた物議を醸し出しそうな内容になってきましたが、まあ、私はこんな人間なので、仕方がないですね。