東電30件ほど仮払い応じず
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東電30件ほど仮払い応じず

7月20日 4時12分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)

東京電力福島第一原子力発電所の事故で、被害者に対して賠償金の一部を前倒しして支払う「仮払い」について、東京電力が医療法人や学校法人などから30件程度の請求を受けながら、いまだに応じていないことがわかりました。専門家は「被害者の救済は時間との勝負で、破綻したあとに賠償を考えても遅く、仮払いを急ぐべきだ」と指摘しています。

東京電力は福島第一原発の事故が起きた1か月後の4月下旬から、避難している世帯などに最大100万円の賠償金の仮払いを始めたほか、農林漁業者と中小企業に仮払いを行っています。ところが、これら以外については、事故から4か月余りがたった今も実施されておらず、東京電力によりますと、政府の避難指示などの区域にある医療法人や学校法人、それに社会福祉法人などから今月17日までにあった30件程度の請求について、いずれも応じていないということです。国の審査会がまとめた指針では、政府の避難指示などに伴う営業損害などは賠償の対象になると認めていて、これらの法人などの請求も含まれるとみられます。これについて東京電力は、「これまでの仮払いは政府の要請などを尊重して先に実施してきた。これら以外の被害者への仮払いの必要性も十分に認識しており、検討を進めている」と話しています。ただ、仮払いについての法的な規定はなく、どんな損害に対していつ、いくら支払うのかは制度上、東京電力任せになっています。これについて、原子力損害賠償に詳しい弁護士の中所克博さんは「被害者の救済は時間との勝負で、破綻したあとに賠償を考えても遅く、仮払いを急ぐべきだ。原発事故の賠償の具体的な方法を定めていないのは法の不備で、政府は法整備を進める必要がある」と指摘しています。