イカタコウイルスで実刑判決
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イカタコウイルスで実刑判決

7月20日 13時43分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)

感染するとパソコンのデータをイカやタコの画像に勝手に置き換えてしまうコンピューターウイルスをインターネット上に流したとして、器物損壊の罪に問われた元会社員に対し、東京地方裁判所は、懲役2年6か月の実刑判決を言い渡しました。

大阪・泉佐野市の元会社員、中辻正人被告(28)は、感染するとパソコンのデータがイカやタコなどの画像に勝手に置き換えられてしまうコンピューターウイルスをインターネット上に流し、ダウンロードした人のパソコンを正常に使えなくしたとして、器物損壊の罪に問われました。中辻被告は、ウイルスを作ったことは認めたものの、パソコン自体を壊したわけではなく簡単に復旧できるとして、無罪を主張していました。20日の判決で、東京地方裁判所の岡部豪裁判長は「ウイルスにより、データの読み込みや書き込みというパソコン本来の機能が害された。復旧には一部でも相当な日数と費用がかかり、完全に復旧させることはプロでもできない」として、器物損壊に当たると認めました。そのうえで「大切なデータを失わせた結果は重大で、被告は以前、別のウイルスも作っており常習性がある」として、懲役2年6か月の実刑を言い渡しました。コンピューターウイルスを巡っては、これまでは単に作成する行為を取り締まる法律はありませんでしたが、被害の増加を受けて、先月、刑法が改正されて、ウイルスを作成しただけで罪に問われるようになりました。コンピューターウイルスの被害はインターネットの普及に伴って年々増えていますが、これまでは単にウイルスを作成するだけでは罪に問われませんでした。このためデータの一部を勝手に書き換えさせたことをパソコンの機能を害したとみなして今回のように器物損壊罪で起訴するなど、実際の被害に応じて対応せざるを得ず、検挙の数は、去年までの5年間に全国で7件にとどまっていました。新たに設けられた「ウイルス作成罪」は、正当な理由がないのに無断で他人のコンピュータ内で実行させることを目的にウイルスを作成する行為を取り締まるためのもので、違反すると、3年以下の懲役か50万円以下の罰金に問われます。法務省刑事局は「罪に問われるということを明確にしたことで、犯罪の予防にもつながるはずだ」としています。