【ケネディ宇宙センター(米フロリダ州)時事】米航空宇宙局(NASA)の元宇宙飛行士で、スペースシャトルで5回飛行し、日本人女性飛行士の向井千秋さんとの搭乗経験もあるスコット・パラジンスキー氏(49)=テキサス州在住=が20日までに電話インタビューに応じ、シャトルが30年の歴史の幕を閉じることについて「後継機を用意できていない現実は非常に悲しい」と述べるとともに、「政権の宇宙政策は明確な目標を欠いている」と苦言を呈した。
パラジンスキー氏は「米国は今後、数年間にわたり、宇宙に自力でアクセスできない。宇宙開発における政府のリーダーシップに失望している」と述べ、ブッシュ前政権が2004年にシャトル退役を決定してから7年が経過しても後継機を開発できない状況を憂えた。また、前政権の有人月探査復活計画を、オバマ大統領が白紙撤回したことを取り上げ、「コストや遅延の問題があれば計画を修正し、政策に継続性を持たせるべきだ」と主張。大統領は新しい探査目標に地球周辺の月以外の小惑星も挙げているが、「漠然とした計画で、熱意が感じられない。明確な目的地に向かう行程表がなく、NASAは漂流している」と語った。
財政危機の中、NASA予算も削減対象になっていることには、「長期的な視野に立てば、新しい科学知識に投資しない国は後退し、雇用も創出できない。宇宙開発への投資は、数学や科学、工学を追求する多くの人々を奮い立たせる」と強調した。
1998年に向井さんと飛行したことを振り返り、「向井さんは非常に優秀な飛行士で、エネルギッシュな彼女と一緒に活動できたことは大変光栄だった。再会したい」と懐かしがった。「日本はロケットを生産でき、発射拠点もある。日米宇宙協力の中で、日本はますます大きな役割を果たす」とも語った。
[時事通信社]