2011年7月19日
関西流でメンズGETへ
阪急阪神百貨店の有楽町阪急(東京都千代田区)が18日、全面リニューアル前最後の営業日を迎え、朝から大勢の買い物客が訪れた。今秋、男性向けファッションが中心の「阪急MEN'S TOKYO(メンズ・トーキョー)」に生まれ変わるが、阪急百貨店梅田本店「メンズ館」(大阪市北区)の成功体験をどこまで生かせるか。「メンズ館」はブランド主体の店作りだが、メンズ本家の東京では売り場から販売までを自社で手がける「自主編集売り場」が多いだけに、阪急の戦略が注目される。
首都圏地盤の伊勢丹は昭和43年、東京・新宿本店に男性ファッション中心の「男の新館」(東京都新宿区)をオープン。平成15年には「イセタンメンズ」とリニューアルした。売り場面積は約1万平方メートルと阪急メンズ館の約1万6千平方メートルよりも小さいが、21年度の売上高は390億円。東京都内の百貨店で売られた紳士服の3割近くを占めるとされるほど影響力が大きい。
そのノウハウを吸収しながら、「メンズ館」を開業したのが阪急だ。阪急は8年から19年まで、伊勢丹と業務提携しており、共同で取引先の開拓などにもあたってきた。
伊勢丹は三越との経営統合を経て今年5月、JR大阪三越伊勢丹(大阪市北区)を出店した。メンズの充実も図ったが、百貨店の男性専門館として日本最大規模を誇る阪急メンズ館は好調を維持。本家の「イセタンメンズ」ほどの売り上げではないが、中四国からも客を集め、年間250億円の売上高を誇る。
「阪急MEN'S TOKYO」は、その成功体験をひっさげての開業となる。丸の内などのオフィス街、新幹線が乗り入れる東京駅からも近く、有楽町でのターゲットを女性から男性に変えたのは「男性客の潜在的な層が厚い」(阪急百貨店関係者)とみたからだ。
しかし、買い物客のブランド志向が根強い関西にあって、阪急メンズ館は売り場の大部分をさまざまなブランドに割り当て、仕入れや販売を任せている。自主編集売り場を中心に、複数のブランドの衣料品を組み合わせて買い物客に提案する東京の百貨店とは違う。
高級ブランドやカジュアル衣料の路面店が集中する首都圏で阪急のノウハウはどこまで通用するか。首都圏のニーズにどう合わせるかが、阪急MEN'S TOKYOの命運を左右するといえそうだ。
有楽町阪急 阪急百貨店が昭和59年、JR有楽町駅近くの複合商業施設「有楽町マリオン」内に開業。近隣のオフィス街で働く若い女性をターゲットにし、平成19年度までは黒字を確保した。しかし、同年に有楽町マルイが新規開店したほか、近隣地域にカジュアル衣料ブランドが相次いで進出したことで、20年度以降は赤字が続いていた。有楽町マリオン内の西武有楽町店は22年12月に閉店した。
【写真説明】18日の売り尽くしセール最終日に約200人が並んだ有楽町阪急。メンズ中心の新店舗にも期待が集まる=東京都千代田区(藤澤志穂子撮影)
(2011年7月19日 06:23)
Category:経済
関連記事
2011.05.04
2011.04.26
2011.06.24
2011.06.07
2011.05.18
この記事と同じカテゴリの最新記事
2011.07.20
2011.07.20
2011.07.20
2011.07.20
2011.07.20