福岡県大牟田市沖の有明海で、高級二枚貝タイラギが大量死していることが20日、佐賀県有明水産振興センター(佐賀県小城市)の調査で分かった。原因は今のところはっきりしていない。大量死が確認された地点は稚貝の生息数が多い場所のため、同センターは「調査で集めた半数の稚貝が死んでおり、このまま広がれば漁が厳しくなる」とみて、監視態勢を強化する。
同センターは14日、福岡県沖から佐賀県沖にかけての5地点で潜水調査を実施。うち福岡県沖の2地点でサンプルの半数のタイラギの稚貝が死んでいた。一方、主要漁場の一つである佐賀県沖を含む、残りの3地点では目立った異常は確認されなかったという。
同センターは今後、月別の調査を今後週1回のペースで実施し、経過を見守っていくという。
有明海のタイラギは、国営諫早湾干拓事業(長崎県諫早市)で潮受け堤防が閉め切られた1997年以降、生息数が激減し、不漁の年が多くなっている。2009年度は佐賀県太良町沖で稚貝が大量に育ち13年ぶりの豊漁を記録したものの、10年度は海中の酸素が極度に不足する貧酸素水塊が発生、主要漁場を福岡県沖に移したが、一転して不漁に陥った。
=2011/07/21付 西日本新聞朝刊=