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相模原の老舗製麺店「たから製麺所」が閉店、常連客から惜しむ声/神奈川 

2011年7月20日

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取り壊される店で、創業当時に使ったベルを鳴らす財部さん=相模原市緑区橋本

取り壊される店で、創業当時に使ったベルを鳴らす財部さん=相模原市緑区橋本

 相模原市の橋本駅前で半世紀以上、店を構えた老舗製麺店が5月末に閉店した。前を通る道路の拡幅工事を受け、店舗兼住宅は8月末までに取り壊される予定。閉店後も常連客からは惜しむ声が相次ぎ、店主の財部賢一さん(66)は「楽しみにしてくれたお客さんに、感謝の気持ちでいっぱい」と話している。

 1954年に創業した「たから製麺所」(緑区橋本6丁目)。父賢次さんが、製麺店を1日見学しただけの“素人同然”で開業した。当初は取引先もほとんどなく、自転車の荷台に麺を積み、ベルを鳴らして売り歩いた。卸先が広がると、幼い財部さんも配達などを担当した。

 店を手伝いながら、横浜翠嵐高校に進学。卒業後は大学に進む友人がほとんどだったが、夜が明けないうちから働く父母の姿を見てきたとあって、「保存料を一切使わないなど、父親の麺が好きで、この味を受け継ぎたかった」と、店を継ぐことを決めた。

 こだわりの味を守って働きづめの日々。飲食店のほか、市内の小学校にも給食として届けるため、繁忙期は夜中の12時に起きて注文に応えた。昼間は配達に走り、近所のお客さんのために夜も7時ごろまで店を開ける。父が植えたユズを使った年越しそばが人気で年末も注文に追われ、満足に休めるのは正月くらい。

 「子どもたちやお客さんからの『おいしかった』のひと言がうれしくて、やってこられた」。北海道や京都に転居しても注文を続ける常連客や、「ほかの店のは苦手でも、ここのそばだけは食べられる」と買い求める人たちに支えられた。

 拡幅工事は車や歩行者の多い道路に歩道を設けるため。自身も高齢で、子どもたちもそれぞれの仕事があることから、5月31日に店を畳んだ。閉店後、給食で麺を届けた小学校の子どもたちから感謝の手紙が届き、「お店のおかげで、宝物ができた」と目を細める。

 店内の片付けに追われる中、取り壊しが迫ってきた。思い出が染みこんだ店を壊すのはさみしいが、商店街の一員として、「お客さんが安心して買い物できるような歩道を造って、商店街が再び元気になってほしい」と地域の発展を願っている。

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