「 太陽じゃないと言ったけど 」 2002.2.6                   

大野くんが「はなまるカフェ」に出た。 
初の[単独でトーク番組出演]に 少しの緊張感を持って待っていた私は
彼が歩いてきた姿があまりに普通なのを見て ちょっと笑ってしまった。 
「はなまるカフェ」のタイトルが大きく画面に出た時なのでわかりにくいが、
テーマソングの最後の所で リズムに合わせて首を傾けてみたり。
FAXを読みあげるヤックンが「おーちゃん」と読んだところで 
「おーちゃん」と 自分で言ったその言い方が あまりにも可愛い。

トークの内容は「一応嵐のリーダー」 「事務所に入ったいきさつ」「家族のこと」
「新曲のこと」「現在 舞台初主演中」等・・。
トークは穏やかに ゆっくり大野くんのペースで進んでいった、ような気がする。

途中「嵐デビュー」の話題にふれ、凄い人気だったよねと言うヤックンに
自分は最初人気がなかったと 大野くんは言った。


嵐になりたてのJrコン。
もちろん 会場に全く大野ファンがいなかったわけではない。
「全然いなかった」みたいに言われたら悲しむファンもいるかもしれないが
彼がそう思ってしまうのも無理はないほどの状況、だったんじゃないだろうか。

嵐結成のずい分前から Jrファンの間では[デビュー組]の話題でもちきりだった。
メディア露出の多いコが選ばれると思われていたし
「このメンバーでキマリ」と思われるメンツが セットになっての露出が増えていた為
いざ発表になった時に [大本命]と目されていた有名Jrの姿がなかった事と
噂にものぼっていなかった大野智がいたことは かなり驚かれたのだと思う。
加えて Jrファンそれぞれにイチオシがいるわけで 
それぞれに複雑な思いがあったに違いなく ある意味 特殊な状況だったのだ。

なにしろ 東京ドームでのJrコンの申し込みが来た段階では
「大野君達のMAはドームに出るの?とった方がいいの?」程度のものだったから
あのハワイ会見の映像をみせられてからというもの
ご本人同様 ファンも「何のこっちゃ ワケわかんなかった」わけで。
ファンにしても すでに「デビューするもの」と思っていた他のメンバーのファンとは 
気持ちの上でも大きな差があったと思う。

心の準備も出来ぬままドームへ向かったあの日。 
グッズ売り場の行列に並んでいるとあちこちから「大野」の名が聞こえてきたが 
どれも彼を歓迎していない辛い内容だったから
たまに[大野][智]の手作りうちわを見かけると 心からほっとした。

[爆音並]の歓声があがる他のメンバー達とは違い
大野智の時だけは 爆音のかわりに微妙なざわめきが起こっていた。
いや、彼への歓声も確かにあったはずだ。
しかしその歓声は 大多数が囁くざわめきの波に
静かに呑み込まれてしまっていた。 
ステージ上の彼は きっといたたまれなかったと思う。
私はあの時 「今だけだから 大野くん耐えてくれ」そう思っていた。
皆が[嵐]に慣れたら 絶対違う反応が返ってくるようになる。
いつか必ず笑い話になるから。今は我慢してくれ、と。
何の面識もない人に対して こんなに心配になったことも初めてで
なんだかおかしいのだが・・・
あれは それまでの露出=メディアの力を痛感させられた場面でもあり
社長も18歳の少年にずいぶん酷なことをするものだ、と思ったものだ。


あれから2年と数ヶ月。


大野智が1人でトーク番組に出ている。
デビュー出来た者だけが許される [現在に至る経緯]などを話して。
嵐になりたての頃のことも 「笑い話」として。 
1stコンサートで 「またザワザワだったらどうしよう」と言った時の顔
「沸いたんですよ よかった追いつけた・・」ほっとした顔。
「その大野くんが・・」と沢山のFAXを見せられた時の なんと嬉しそうな顔。
この日の大野くんは 2年前には考えられなかった程 表情豊かだった。


このHP名の由来を語るページで私は
「彼は絶対 太陽じゃないと思う」と書いたのだが
それは 撤回しなければならないと思う。
今日の彼は 春の陽だまりのようだった。おだやかで 目がキラキラして。
場所を与えられていることの幸せを この人は知っているんだなあと思うのと同時に
みている人を思わず微笑ませてしまう 天性の朗らかさを持った人だと思えた。


最後に 敬愛する友人の1人、Tさんの言葉を。

「 いつかの蒼い時の彼。
  大人の仕事をしなければいけないのに、
  まだ張り裂けそうな小さな少年の心しかもたない時。  
  [さわらないで・・ 触れてほしくないんだよ]って
  聞こえてきそうな時代があった事を感じました。
  そして、今私が彼に感じることは 
  彼は技術以上に精神を磨いたな・・って思うんです。
  卑屈が人間の疾走を遅らせるとすれば、 
   彼は自分を信じて懸命にがんばった
  [素直]が自分自身を 思いっきり明るい方へ押し上げたんだなぁ・・。
  幸い傲慢感の薄い彼の事 家族や先輩に守られる中で
  技術以上に大切な自らの哲学、
  毅然とした精神の支柱を持った人なのかもしれない。 」


 1年先も2年先も きっとこの人を見ているんだろうなあ・・
 この存在に気づけたことを幸せに思います。