2011年5月22日 2時33分 更新:5月22日 3時13分
東日本大震災の津波により広範囲に浸水被害が出た仙台平野で、川を逆流する津波の速度は陸地部分の2倍を超えていたことが、千葉工業大(千葉県習志野市)などの国際研究チームの分析で分かった。逆流した津波は川の堤防を越えて宅地を襲い、大きな被害を出した。今後、各自治体による防災計画や避難計画の見直しでは、津波の速度の違いも考慮にいれる必要があるとしている。
研究チームは、3月11日に宮城県名取市閖上(ゆりあげ)地区で撮影された映像を使い、津波第1波の先端の速度を解析した。海岸から約2キロ、名取川から800メートルの陸地では秒速3.0メートル(時速10.8キロ)だったのに対し、名取川を逆流する津波は秒速6.5メートル(同23.4キロ)だった。
千葉工大惑星探査研究センターの後藤和久上席研究員は速度の違いについて「陸地では津波が地面との摩擦で減速するのに対して、水中は速い流れが保たれる」と分析する。さらに川を逆流し、あふれた津波は、堤防から流れ落ちる過程で加速し、破壊力を増すという。
今回の震災では、海岸から離れた川沿いの集落も津波の被害を受けた。宮城県石巻市では、北上川を逆流した津波が河口から4キロ上流の橋げたを押し流し、近くの市立大川小に通う多数の児童の命を奪った。
今回の分析結果は、千葉市で開かれる日本地球惑星科学連合大会で27日発表する。【比嘉洋】