2011年5月21日 22時30分 更新:5月21日 23時43分
外国人投資家による積極的な日本株買いが続いている。買いが売りを上回る「買い越し」は5月第2週(9~13日)までの28週連続と過去最長を15年ぶりに更新。「日本株は割安」との見方が広がる中、米証券大手は内外の機関投資家を集めて日本の復興などをテーマにセミナーを相次いで開く。ただ、福島第1原発事故など懸念材料もあり、先行きの見方は分かれている。
米ゴールドマン・サックス(GS)は6月2、3日、東京都内で国内外の数百人の機関投資家を対象に日本経済をテーマにしたセミナーを開く。小泉純一郎元首相や大手企業の幹部を招き、日本の復興のあり方や将来性を考える。従来業種別のセミナーは開いてきたが、日本経済全体をテーマにすること自体が異例。「復興需要により日本株人気は揺らがない」(同社幹部)と見て、開くことにした。セミナーのやや大仰な表題「ジャパンライジング(日本は昇る)」も「新興国株を想起させる」(欧州系証券大手)とかえって海外の機関投資家の関心を強めている。
米モルガン・スタンレーも30、31日、前原誠司前外相や日産自動車の志賀俊之最高執行責任者を招き、セミナー「ジャパンリバイバル(日本復活)」を開く。「日本は震災を乗り越える」(同社幹部)との見方が増え、問い合わせが殺到しているという。
外国人買い越しの背景には、昨年11月の米国の追加量的緩和導入など世界的な金融緩和で豊富な資金が市場に供給されたことがある。リーマン・ショック後、大幅に上昇した米株に比べ、日本株が出遅れ、買いやすいこともある。4月の日本市場における海外勢の売買代金シェアも、67・4%と過去最高の08年1月(69・2%)に迫った。
外国人の買い越しをめぐっては、阪神大震災後も復興需要の期待で、95年11月から27週連続継続。「復興需要が本格化すれば、さらに買い越しが続く」(SMBC日興証券国際市場分析部の西尾浩一郎次長)と期待する声が強い。
ただ、先進国の金融引き締めをにらみ、原油や金など商品市場は下落傾向にある。足元の外国人買い越しがやや鈍っていることもあり、「原発事故への懸念や震災のダメージに加え、日本の成長余力の乏しさから日本株は伸び悩む」(欧州系証券大手)との厳しい見方も出ている。【岩崎誠】