民主党は19日、子ども手当に所得制限をかけた場合の負担増の試算をまとめた。年収860万円の世帯が手当を受けられなくなった場合、子供1人当たり月額約9000円の負担増になる一方、年収1100万~1300万円の負担増は月額約1万円にとどまると指摘。公明党の坂口力元厚生労働相が試案で示した年収1200万円での所得制限を軸に野党との調整に臨む考えをにじませた。
所得制限について、自民、公明両党は、児童手当並みの年収860万円を主張しているのに対し、民主党は15日に年収1800万円案を示している。
民主党案の1800万円では対象世帯が少数で、野党の求める財源捻出にはつながらず、合意の可能性はない。平田健二参院幹事長は19日の記者会見で、「妥協点を探らないといけない」と譲歩の可能性を示唆した。
民主党の試算では、所得税などの年少扶養控除が廃止されたため、自公の主張通りの860万円では中堅サラリーマン層の負担が相対的に重くなる。同時に、坂口試案の1200万円まで所得制限を引き上げても、負担増は比較的少ない。民主党側は、試算をきっかけに与野党が坂口試案に歩み寄ることを期待する。
ただ民主党が1200万円まで譲歩したとしても野党側が受け入れる保証はない。自民党の石破茂政調会長は19日の会見で、「元の児童手当に戻し、その拡充を図るべきは図っていく」と述べ、あくまで860万円を求める姿勢を崩さなかった。【大場伸也】
毎日新聞 2011年7月19日 21時30分(最終更新 7月19日 22時44分)