福島のニュース

生産者に中傷追い打ち 福島・浅川産汚染牛出荷の男性

 肉牛に放射性セシウムが含まれた稲わらが与えられていた問題は、福島県内で拡大を続け、畜産農家を苦境に陥れた。仙台市や東京都の市場に42頭を出荷していた浅川町の農家の男性(54)は、自ら稲わらなどの検査を申し出たにもかかわらず、心ない中傷に苦しんでいる。
 男性が出荷した肉牛に不安を抱いたきっかけは、今月9日に南相馬市の農家が出荷した肉牛から放射性セシウムが検出されたことだった。翌10日、原因はセシウムに汚染された稲わらだったと判明した。
 黙って推移を見守ることも可能だったが、男性は「そんなことは絶対にできないと思った」と言う。自主的に県に検査を申し出て、餌用の稲わらと飼っている牛の検査を受け、生産者としての責任を果たした。
 県が、男性の牛舎の稲わらからセシウムが検出されたと発表した翌日の15日から、インターネット上に男性や県内の畜産農家を中傷するような書き込みが現れ始めた。男性の自宅には無言電話もかかってくるようになったという。
 眠れない日が続き、酒量も増えた。外出時には顔を隠したい気持ちに駆られるという。「みんなに迷惑掛けちまったんだろうな。正直に牛をつくりたかっただけなのに」と話す。男性は今、牛を出荷できず、堆肥の引き取り手もいなくなった。売れる見込みのない牛を飼育するために、毎月約260万円の餌代が重くのしかかる。


2011年07月20日水曜日


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