テレビの「水戸黄門」(TBS系)が視聴率の頭打ちで、今シリーズ限りの放送終了が決まった。69年から42年続き、最も見慣れた時代劇がなくなるのは寂しい限りだ。「ズバッと後ろから斬られたような思い」と5代目黄門役の里見浩太朗が言ったそうだが、東野英治郎や佐野浅夫ら枯れた黄門に比べ若々しすぎるのが玉にキズだ。
枯れた味を出しているのは政界の黄門こと民主党・渡部恒三最高顧問。どこへ行っても「黄門さま、早く印籠を出して首相を取りかえてくれ」と言われているが、16日の福島県の党会合で「10個ぐらい印籠を持っていっても、(菅首相は)辞める様子はない」とぼやいた。
10個どころか100個突き付けられても、この首相は何とも感じないだろう。先週の記者会見での「脱原発」発言も、後日政府方針でなくあくまで「個人的見解」とした。思いつき発言で国民を惑わしてばかりいるうえ、実現はしなかったが、燃料費込みで数千万円を使って政府専用機でのサッカー女子W杯決勝観戦を画策していたとか。
まったく、何をやり出すかわからない。首相就任時に「熟議を尽くす国会に」と言っていたが、熟議どころか与野党とも自分の保身ばかり考え、指をくわえて首相の暴走を眺めている。菅首相の熟議の相手は「支持率にマイナスはないから」とシリを叩いては“入れ知恵”する夫人の伸子さんだけ、との声さえ聞かれる。
ついていく人がいないから国が機能せず、1日延命すれば政治空白も1日伸びる。本当におかしな話だ。解散権が首相の専権事項だからこんなことにもなる。早急に手だてを講じないと第2、第3の暴走首相が出てこないとも限らない。(今村忠)
(紙面から)