全てを表示し、探索者カードを目の前に差し出す。
スレイ
Lv:51
年齢:18
筋力:SS
体力:SS
魔力:SS
敏捷:EX
器用:SSS
精神:EX+
運勢:G
称号:不死殺し(アンデッド・キラー)、神殺し(ゴッド・スレイヤー)、虐殺者、双刀の主
特性:天才、闘気術、魔力操作、闘気と魔力の融合、概念操作、思考加速、思考分割、剣技上昇、刀技上昇、二刀流、無拍子、化勁、明鏡止水、無念無想、心眼、高速詠唱、無詠唱、多重魔法、融合魔法、炎の精霊王の加護、炎耐性、毒耐性、誘惑耐性、霊耐性、邪耐性、神耐性
祝福:無し
職業:剣皇
装備:双刀“紅刀アスラ”“蒼刀マーナ”、ミスリル絹のジャケット、ミスリル絹のズボン、牛鬼の革のスニーカー、九尾の腕輪
経験値:5001 次のLvまで99
預金:90062コメル
「ふむ、これで俺もSS級相当探索者の仲間入りか」
能力値から計算し、自分のランクが上がった事を確認する。
「ええ、そのようですね。まだ早すぎて説明を受けてないかも知れませんが、SS級相当探索者になった場合、探索者ギルド本部、ギルドマスターへの報告義務がありますので注意して下さいね」
「ああ、分かった」
そういえば移動の規制についてはSS級相当探索者になってから話すなどとゲッシュが言っていたなと思い出す。
他にも何か決まりがあって、講習のようなものでもあるのだろうか?
少し楽しみである。
「また、能力値のランクが上がりましたね。筋力と魔力ですか。これでまだLv51、成長期はあと19Lvもあるのですから、本当に末恐ろしいです」
「成長期?」
思わず尋ねてしまうスレイ。
「ええ、何故かLvが70を越えた辺りから、それぞれの能力値のランクが非常に上がり難くなるんです。ちゃんと時々は上がる人がいますし、専門家の研究成果と見解によると、一応は表示には出ないくらいの範囲で少しずつ成長してはいるらしいんですけどね。それでもランクが上がり難いのは間違いありません」
「なるほど、それなら確かに19Lvの余裕というのはありがたいな」
頷くスレイ。
「まあ、今の時点で既に異常な能力値のスレイさんがそんなに喜ぶ事では無いと思いますが。でも、やっぱり運勢だけは変わりませんね」
うっ、と思わず項垂れるスレイ。
もはやこの運勢:Gだけは一生スレイに付き纏いそうな気がしてきた。
(スレイの中だけでは)伝説の宝箱や隠し部屋に遭遇するには、運勢が高いものと組んで探索するしかなさそうである。
今度オグマを鍛えがてら、鷹の目団と一緒に探索でもするかと考えるスレイ。
あの小妖精と一緒なら、自分でも(スレイにとっては)伝説の宝箱や隠し部屋に遭遇できそうな気がする。
そんなスレイにフィーナが詰め寄る。
「ですが、それよりも!!」
「そ、それよりも?」
あまりのフィーナの勢いに思わずのけぞるスレイ。
なにげに自分の運勢を、それよりも、の一言で片付けられた事に、内心僅かに落ち込んだりもしていたが。
「何で剣士系職業のクラスアップで多重魔法や融合魔法なんて魔術師系の特性が増えてるんですか!?非常識です、不合理です」
「そう言われてもな」
自分で選べる訳じゃあるまいし、と内心呟く。
そんなスレイを見て、フィーナは溜息を吐き、諦めたように告げる。
「まあ、今更そんなものをスレイさんに求めても仕方がありませんね」
「いや、それはそれで傷つくんだが」
そんなスレイを無視してフィーナは告げる。
「それでは、これでもうこの部屋でスレイさんと会う事は無いでしょうけど、ちゃんと釣った魚にも餌を下さいね?」
「ああ、分かっている。今度またデートにでも誘わせてもらうさ」
苦笑して告げるスレイ。
「ふふ、それじゃあ楽しみに待ってますね」
嬉しそうに答えるフィーナ。
そしてスレイの三回目にして最後のクラスアップは終わったのだった。
クラスアップを終え、待合室にいたディザスターとフルールを伴い、職業神の神殿を出る。
一応神殿内でジュリアの姿を探してみたのだが、見当たらなかった為、そのまま帰路へとつく。
そして、そろそろ自分の拠点とするフレイヤの宿が近付いてきた頃。
スレイは、ややこしい事態に気付いていた。
「この気配は、やはりフレイヤの宿からだな」
「うん、そう思うよ」
『我も肯定するぞ主よ』
なにしろ相手が相手だ。
恐らくは自分を目的とした客人だろうと確信する。
ややこしい事態を想像しながら、スレイは嫌々残りの道を歩いていく。
「やはり、このまま放置する、とはいかないのだろうな」
「それは、まあ。宿に居座られちゃね」
『効果的な待ち伏せだな』
ペット二匹の気楽な声にまた溜息が出る。
そしてスレイはフレイヤの宿の前に辿り着いた。
宿の入り口を開け中に入ると、食堂の中、一つの席の周囲に誰も座らず、その席には一人優雅に茶を飲んでいる美女が居た。
カウンターにはフレイヤが居たが、フレイヤとて元S級相当探索者である、『彼女』の力の波動を感じてどうすればいいのか分からなかったのだろう。
スレイを見て安堵したような表情をする。
その足下にはサリアがしがみ付いていた。
サリアもまたスレイを見て表情に笑みを浮かべる。
スレイはそんな二人に目礼すると、そのまま『彼女』の元へと歩み寄った。
「お久しぶり、といえばいいのかな?何か俺に用か、“吸血姫”シャルロット」
「いきなり不躾だのう。少しは風情というものも覚えんと、女にモテんぞえ?」
そこに居たのはあの“吸血姫”シャルロットだった。
以前あの会談で会って以来の相手である。
スレイはシャルロットの言葉に軽く返す。
「これでも恋人は数え切れない程いるのでな。女には困っていないぞ?」
軽く笑ってみせるスレイ。
その余裕の様子に、シャルロットは呆れたような声を出す。
「恋人が数え切れない程居るというのは、それはそれでどうかと思うがのう」
「全員に本気なのだから、問題あるまい?」
堂々と言ってのけるスレイに、シャルロットはほう、と感心してみせる。
「大した甲斐性だのう。それだけ女を囲えば、出費も馬鹿にならんだろうに」
「まあ、迷宮探索は儲かるからな」
実はちょっと前まで破産しかけていた事など微塵も感じさせずスレイは言いきる。
シャルロットはどこか呆れたような感心したような表情で告げた。
「まあ、お主の女関係については今はどうでも良い。……本当はあまり良くはないがのう。ともあれ!お主が先程言った通り、妾はお主に用があって来た」
スレイはふぅ、と溜息を吐くと、宿の出入り口を指差す。
「まあ、とりあえず。このまま帰れ」
「ず、随分と容赦が無いのう」
確かに。
美女が相手だというのに容赦の無い自分にやや疑問を覚える。
なんというか実年齢では桁違いに、見た目でも年上の相手だというのに、まるで小さな子供を相手にしている気分になっているスレイ。
本気で自分でも謎である。
だが、今は厄介事に退散願うのが先だ。
再びスレイは告げる。
「それじゃあ、とりあえず。消えろ」
「容赦が無さすぎであろうが!!」
思わず怒鳴り返して来るシャルロット。
周囲の視線が集まる。
スレイはこめかみを押さえ、頭が痛そうにしながら、仕方が無さげに肩を竦めた。
「わかった、とりあえず話は聞いてやる。だが、俺の泊まってる部屋でだ。これ以上宿に迷惑を掛ける訳にもいかないからな」
そしてシャルロットを促すと、スレイは先に立って歩き始めた。
スレイについて来るシャルロット。
スレイはまた僅かにフレイヤとサリアに目礼すると、そのまま自分が宿泊している一室へとシャルロットを案内し、招き入れるのであった。
面白いと思ってもらえたらどうぞ宜しくお願いします。
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