「と、いう訳でだ。俺達鷹の目団の凄さは分かってもらえたと思う」
「ああ、確かに凄かった……預金が」
思わずズッコケるホーク。
一々オーバーリアクションな男である。
「そ、そう来るかい。あんた、やるな」
何やら妙なライバル心までスレイに抱いたようである。
だが気を取り直すように咳払いすると、スレイに告げる。
「それでだ、俺達の能力値も見せた事だし、アンタの能力値も見せちゃもらえないかい?」
「俺の能力値を?」
不思議そうにするスレイにホークは勢い込んで頷く。
「ああ。こっちだって見せたんだから、そうするのが礼儀ってもんだろう?」
「でもあんたが勝手に見せる流れにしただけじゃない」
「えーい、レイナはちょっと黙ってろ!男の話に口を出すんじゃねえ!」
突っ込みを入れたレイナにホークが怒鳴る。
「男の話って、はぁ」
呆れたような溜息を吐いて黙り込むレイナ。
「ともかくだ、そんな大層な狼をペットにしてるんだ、恐らくは魔物使い(モンスター・テイム)の特性と魔物使い(モンスター・テイマー)の称号を。いや、むしろその上位互換の特性や称号を持ってるんじゃないかと思うんだが。どうだい、合ってるかい?是非その珍しい特性と称号を見てみたいんだが」
好奇心に瞳を輝かせて問いかけてくるホーク。
スレイはどこか気まずげに答える。
「悪いが、あんたの期待には応えられないと思うぞ。まあ、確かにそちらが一方的に見せて来たとはいえ、あんた達の能力値も見てしまった訳だし、決して口外しないと約束してくれるなら見せても構わないが」
「ああ、するする。約束するから見せてくれ」
どこまでも軽いホークに、疑わしげな視線を向けるスレイ。
そんなホークを押さえ付けるようにしてオグマが前へと進み出る。
「すまないな。こんな軽い男じゃ信じられないとは思うが、これでコイツは人との約束を破った事は無い奴だ。それに俺が責任を持ってコイツにあんたの事は口外させないと獣神ライガンに誓う。どうだろう、信用してはもらえないだろうか?」
オグマが重々しく語るのに、スレイは、ふぅ、と吐息する。
仮にもライカンスロープが、自らの種族の創造者たる獣神ライガンに誓いまで立てたのだ、信用しても構わないだろう。
スレイは一つ頷くと告げた。
「分かった、信用しよう。ただ、さっきも言ったように、あんた達の期待には応えられないと思うぞ?それに預金額が恥ずかしい限りでな、あまり笑わないでくれると助かる」
「いや、待ってくれ。少なくともここまでやって来たあんたが、そんなに預金が少ないっておかしくないか?」
クルトが思わずといった感じで突っ込んでくる。
「いやまあ、色々とあってな」
「スレイ」
『主』
どこか遠い目をするスレイ。
二匹のペットはどこか呆れ気味だ。
鷹の目団の六人は、よほどの訳有りなのかと、その理由を様々に想像する。
まさか、ただ囲っている女性が多すぎて出費が激しいなどという理由は、誰も想像しなかったが。
「では、これでいいか?」
スレイは淡々と告げ、カードに能力値を表示し差し出した。
スレイ
Lv:50
年齢:18
筋力:S
体力:S
魔力:S
敏捷:EX
器用:SSS
精神:EX+
運勢:G
称号:不死殺し(アンデッド・キラー)、神殺し(ゴッド・スレイヤー)、虐殺者、双刀の主
特性:天才、闘気術、魔力操作、闘気と魔力の融合、概念操作、思考加速、思考分割、剣技上昇、刀技上昇、二刀流、無拍子、化勁、明鏡止水、無念無想、心眼、高速詠唱、無詠唱、炎の精霊王の加護、炎耐性、毒耐性、霊耐性、邪耐性、神耐性
祝福:無し
職業:剣鬼
装備:双刀“紅刀アスラ”“蒼刀マーナ”、ミスリル絹のジャケット、ミスリル絹のズボン、牛鬼の革のスニーカー、九尾の腕輪
経験値:4905 次のLvまで95
預金:62コメル
「は!?」
「なっ!?」
「ええ!?」
「なんと!?」
「うそ!?」
「そんな!?」
ホーク、オグマ、リリィ、ダイン、レイナ、クルトと全員が驚きの声を上げる。
あまりにも六人の常識から逸脱した能力値であった。
オグマもまた異常な能力値を持ってはいるが、これほどトンデモなくは無い。
唖然とする六人。
「“天才”ってなんだ?」
呆然と呟くホーク。
いや、その詳細は自分も知りたいんだが。
と、スレイは内心思う。
「神殺し(ゴッド・スレイヤー)に虐殺者だと?どんな事をすればそんな称号が得られるんだ」
眉間に皺を寄せ考え込むオグマ。
まあ、色々あったんだ。
と、心の中で答えるスレイ。
「というか、闘気と魔力の融合ってなに!?聞いた事無いわよそんなの!!オグマの狂獣化よりありえないじゃない!!それに炎の精霊王となんて何処で会ったのよ!?」
思わず怒鳴るリリィ。
いや、あんたも多分既に会ってるよ。
と、心の中で呟くスレイ。
「なんという剣術関連の特性の多さじゃ。しかも紅刀アスラに蒼刀マーナ?シークレットウェポンのディラク刀か!」
ドワーフ故にその剣術関係の特性の多さと、武器に目が行くダイン。
その口調にはディラク刀への対抗心が滲み出ている。
まあ、自分の相棒達は、シークレットウェポンの中でもさらに特別製だけどな。
と、思うスレイ。
「それより“概念操作”って、意味不明すぎるわ。それに祝福も無いなんて、剣士なのに剣神も信仰してないのね。それに九尾の腕輪って、ディラク島の九尾の狐と何か関係が?」
唖然として呟くように告げるレイナ。
意味不明って、言葉どおりの特性なんだが。
それに神々は、素直に信仰するにはちょっと裏がありそうだしな。
あと九尾の狐、タマモは恋人の一人だ。
と、スレイは考える。
「いや、それよりもこの能力値の偏りは……精神:EX+?運勢:G?しかも本当に預金額が少なすぎる」
先程の言葉を思い出し、確認するように呟くクルト。
あんた達のパーティには、運勢:SSSの小妖精が居て羨ましい限りだ。
と、心の中で呟くスレイ。
鷹の目団の者達は、全員が全員、ただただスレイの能力値に唖然とするだけであった。
全てが全て、良い意味でも悪い意味でも、規格外に過ぎるのだ。
これでも鷹の目団の反応は大人しい方だろう。
オグマというかなりの規格外の存在に慣れているからだ。
しかしそのオグマから見ても規格外に過ぎるスレイ。
そのまま暫く、鷹の目団の者達は唖然として固まり続けるのだった。
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