ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
  シーカー 作者:安部飛翔
第五章
15話
【欲望の迷宮】地下50階
 最奥の広間の入り口と思われる穴の手前。
 何故か六人組の探索者がそこで中を覗き込むようにしていた。
 その内の一人は小妖精である。
 初めて見る種族にスレイは僅かに興味を示す。
 そのまま歩いていくと、全員が気付いたようにこちらを向く。
「おい、あんた。この先に行くのは止めた方がいいぜ、何せとんでもなく強いボスがい……ってあの時の蒼い狼ぃ!!?」
 どこか陽気でお調子者の風情を漂わせた青年。
 立ち位置からするとパーティのリーダーなのだろう。
 その青年がスレイに忠告をしようとして、途中でディザスターの姿に気付き素っ頓狂な声を上げる。
 どうやら忠告しようとしていた内容からすると、そのとんでもなく強いボスとやらの所為でこの階層に止まってレベル上げと換金アイテム集めでも繰り返していたのであろう。
 そして時々広間の中のボスの様子を伺っていたというところであろうか。
 それが何故ディザスターにこのように驚いたのかは分からないが。
「ディザスター、お前の知り合いか?」
『いや、特に覚えが無いが……そういえば地上に出る途中にヴァナディースに殺されかけていたパーティを気紛れに助けた覚えがあるな、恐らくはそのパーティではなかろうか』
「へぇー、そうなんだー」
 スレイの問いにディザスターが答え、それに感心したように頷くフルール。
 そんな一人と二匹に驚いたような六人の視線が突き刺さる。
「あ、あんた。その狼とはどういう関係なんだ?それにその小さな喋る竜は?」
 やはりリーダーらしき青年が代表して尋ねてくる。
「ディザスターとフルールは俺のペットだが」
『その通りだ、我は主のペットをやっている』
「うん、僕もスレイのペットだね」
 いつの間にやらスレイとフルールの間にも主人とペットの関係というのが、共通認識となっていたらしい。
「そ、その狼がペットだって?」
「うぬぅ」
「うっそー」
「むぅ」
「ええっ!?」
「そんな!?」
 リーダーらしき青年が驚きを露にし、巨大で毛深い獅子のような風貌の男が唸り、小妖精が信じられないといわんばかりの声を上げ、ドワーフの青年もまた唸り、露出度が多目の女剣士が唖然とし、闘士らしき青年が驚愕する。
「そんなに驚かれてもな」
 スレイは頬を掻いて、そんな六人の大げさな驚きように、困惑してみせる。
「だ、だってよー。その狼って、あのオグマでさえまるで敵わなかったここのボスを瞬殺したんだぜ?もう復活してるけど」
「あのオグマ?」
 リーダーらしき青年が言うが、スレイは思わず疑問を口にする。
「お、おいおい。あの獅子王オグマを知らないのか!この俺ホークが率いる鷹の目団のサブリーダーにして、獅子王の二つ名を持ち、SS級相当昇格寸前と言われ、強化した身体能力だけなら並のSS級相当探索者を越えているとさえ言われるあのオグマを!!」
「ホーク、聞いてる俺が恥ずかしいんだが」
 巨大で毛深い獅子のような風貌の男が頬を掻きながら告げる。
 スレイはまた疑問を口にする。
「そもそも、鷹の目団というのも聞いた事が無いんだが」
「なにぃー!?」
 ホークという男は血相を変えると詰め寄ってくる。
「この全員がS級相当探索者のパーティで、どこのグループにも属さず、それでいながら大きな成果を上げ続けているこの俺の鷹の目団を知らないだってぇー!?」
「ああ、聞いた事が無い。そもそも俺はグループどころかパーティすら組まずソロ専門だしな」
「えぇー僕達はー?」
『主よ我等はどうなのだ?』
「いや、お前達はペットだから別だろう」
 スレイの回答に、フルールとディザスターが不服そうに尋ねるが、スレイはあっさりと答える。
「そっか、ならいいや」
『うむ、我等は主のペットだからな』
 スレイの答えに納得したフルールとディザスターは満足そうに頷いた。
 しかしホークという青年は収まらない様子である。
「くっ、俺達鷹の目団を知らないなんて。ええい、それじゃあ紹介してやるから聞いて驚けよ!!」
「ホーク、止めとこうよ。あの蒼い狼さんをペットにしてるんだから、絶対この人もとんでもないって」
 小妖精が止めようとするも、ホークは止まらなかった。
「まずはパーティの最大戦力にしてサブリーダー、さっきも言ったが二つ名持ちでSS級相当探索者になるのも近いと言われる獅子王オグマ!」
 頭が痛そうにしながらもカードを差し出す巨大な獅子の如き風貌の男オグマ。

オグマ
Lv:89
年齢:35
筋力:SS
体力:SS
魔力:A
敏捷:SS
器用:SS
精神:S
運勢:S
称号:不死殺し(アンデッド・キラー)、竜殺し(ドラゴン・バスター)、獅子のライカンスロープ、獣王、バーサーカー、狂獣王
特性:狂化×5、獣化×5、思考加速、思考分割、戦技上昇、月の祝福、炎耐性、水耐性、土耐性、風耐性、毒耐性、光耐性、闇耐性、霊耐性
祝福:獣神ライガン
職業:覇戦士
装備:オリハルコンの爪、ミスリル絹の服、龍革の靴
経験値:8871 次のLvまで29
預金:583321コメル

「ほう」
 見た事も無い称号に感心して頷くスレイ、獣人にして狂戦士とは相当なアドバンテージを持っている事になる、しかしスレイが一番注目してたのはその預金の多さだが。
「そしてパーティのムードメーカーにして、パーティの貴重な魔法要員、風の妖精リリィ!!」
 スレイを警戒しながらも、やはり性格上ノリノリでカードを出してしまうリリィ。

リリィ
Lv:86
年齢:45
筋力:B
体力:B
魔力:SSS
敏捷:SS
器用:SS
精神:S
運勢:SSS
称号:不死殺し(アンデッド・キラー)、竜殺し(ドラゴン・バスター)、風妖精
特性:魔力操作、隠密行動、思考加速、思考分割、魔法上昇、高速詠唱、無詠唱、炎耐性、水耐性、土耐性、風耐性、毒耐性、光耐性、闇耐性、霊耐性
祝福:風神アネモイ
職業:魔賢師
装備:妖精の杖、風精の衣、幸運の靴
経験値:8532 次のLvまで68
預金:482589コメル

「むぅ」
 スレイが思わず唸る、その運勢を見てしまったからだ。
「さらに気は優しくて力持ち、なのに誰より器用な指先を持つ男、ドワーフの聖戦士ダイン!」
 仕方が無さそうにカードを差し出すダイン。

ダイン
Lv:85
年齢:53
筋力:SSS
体力:S
魔力:A
敏捷:S
器用:SSS
精神:S
運勢:A
称号:不死殺し(アンデッド・キラー)、竜殺し(ドラゴン・バスター)、地のドワーフ、見習いバーサーカー
特性:狂化×3、思考加速、戦技上昇、炎耐性、水耐性、土耐性、風耐性、毒耐性、光耐性、闇耐性、霊耐性
祝福:鍛冶神シグマ
職業:聖戦士
装備:オリハルコンのトマホーク、オリハルコンのプレートメイル、オリハルコンの大盾
経験値:8482 次のLvまで18
預金:633890コメル

 やはりスレイの視線はその預金に行ってしまう。
「続いてパーティのお色気担当、剣聖レイナ!」
「だから、誰がお色気担当なのよ!」
 突っ込みを入れながらもレイナはやはり律儀にカードを取り出し能力値を表示する。

レイナ
Lv:84
年齢:28
筋力:S
体力:S
魔力:S
敏捷:SS
器用:SS
精神:S
運勢:S
称号:不死殺し(アンデッド・キラー)、竜殺し(ドラゴン・バスター)、エルシア学園卒業生
特性:魔力操作、思考加速、剣技上昇、炎耐性、水耐性、土耐性、風耐性、毒耐性、光耐性、闇耐性、霊耐性
祝福:剣神フツ
職業:剣聖
装備:オリハルコンのロングソード、オリハルコンのブレストプレート、オリハルコンのバックラー、ミスリル絹のタンクトップ、ミスリル絹のスパッツ、龍革のスニーカー
経験値:8352 次のLvまで48
預金:414390コメル

 実際露出が多目の格好を堪能するスレイ。
「そしてパーティの皆の弟役、パーティ最年少の聖闘士クルト!」
「だから誰が弟役だ!!」
 突っ込みながらもカードを差し出し能力値を表示するクルト。

クルト
Lv:84
年齢:25
筋力:SS
体力:SS
魔力:S
敏捷:SS
器用:S
精神:A
運勢:S
称号:不死殺し(アンデッド・キラー)、竜殺し(ドラゴン・バスター)、纏う者、エルシア学園卒業生
特性:闘気術、魔闘術、思考加速、格闘技上昇、炎耐性、水耐性、土耐性、風耐性、毒耐性、光耐性、闇耐性、霊耐性
祝福:闘神バルス
職業:聖闘士
装備:龍革のセスタス、龍革の胴着、龍革の帯、龍革の靴
経験値:8332 次のLvまで68
預金:318920コメル

「ふむ」
 現時点の力はともかく、素質ならばジークが数段上だなと感じるスレイ。
「そして最終最後、真打見参!鷹の目団のリーダーにして、いずれは大陸史に名を残す男。俺様ホーク!!」
 ノリノリで自分のカードを取り出し能力値を表示し掲げるホーク。

ホーク
Lv:87
年齢:34
筋力:S
体力:S
魔力:S
敏捷:SS
器用:SS
精神:S
運勢:S
称号:不死殺し(アンデッド・キラー)、竜殺し(ドラゴン・バスター)
特性:闘気術、魔力操作、思考加速、思考分割、魔法上昇、戦技上昇、炎耐性、水耐性、土耐性、風耐性、毒耐性、光耐性、闇耐性、霊耐性
祝福:戦神アレス
職業:神騎士
装備:オリハルコンのツーハンデッドソード、オリハルコンのプレートメイル
経験値:8628 次のLvまで72
預金:811230コメル

「おお」
 今までで一番の預金に思わず感嘆するスレイ。
 それを自分達のパーティへの賛美と受け取り鼻を高く胸を張るホーク。
「どうだい?これが俺達鷹の目団だ」
 そう誇らしげに告げるのだった。


面白いと思ってもらえたらどうぞ宜しくお願いします。



+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。