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  シーカー 作者:安部飛翔
第四章
9話
「それではまずクロウ」
 ゲッシュは紹介の時と同じ順番で行く事にして、まずはクロウの能力値の開示を願い出る。
「ふむ、これでいいかの?」
 クロウは中心へと進み出ると自らの能力値を表示しカードを差し出した。

クロウ
Lv:98
年齢:84
筋力:SS
体力:SSS
魔力:C
敏捷:EX+
器用:EX
精神:SSS
運勢:SS
称号:不死殺し(アンデッド・キラー)、竜殺し(ドラゴン・バスター)、双神刀の主、刀術を極めし者
特性:闘気術、魔力操作、思考加速、思考分割、剣技上昇、刀技上昇、二刀流、無拍子、合気、明鏡止水、心眼、鋼属性、炎耐性、水耐性、土耐性、風耐性、毒耐性、光耐性、闇耐性、魔耐性
祝福:剣神フツ
職業:剣皇
装備:神刀アマノムラクモ、神刀アメノハバキリ、白竜革の着流し、白竜革の草履
経験値:9999 次のLvまで0
預金:0コメル

「ほう」
「流石は」
 オウル、ダリウスと続き、特に敏捷の能力値とその刀術系特性の多彩さに、皆が感嘆の声を上げる。
 何よりも刀術を極めた者とは良く言ったものだと、その称号に賛嘆の視線が向けられた。
「続きまして、サクヤ」
「はい」
 サクヤは頷くとクロウと入れ替わりに中心に立ち能力値を表示したカードを掲げる。

サクヤ
Lv:98
年齢:72
筋力:B
体力:B
魔力:EX+
敏捷:SSS
器用:EX
精神:SSS
運勢:SSS
称号:不死殺し(アンデッド・キラー)、竜殺し(ドラゴン・バスター)、魔導を極めし者
特性:闘気術、魔力操作、思考加速、思考分割、魔法上昇、全魔法効果上昇、高速詠唱、無詠唱、多重魔法、融合魔法、光属性、魔属性、炎耐性、水耐性、土耐性、風耐性、毒耐性、光耐性、闇耐性、魔耐性
祝福:光神ヴァレリア
職業:魔賢帝
装備:オリハルコンのレイピア、カドゥケウスの杖、ミスリル絹の着物、白竜革の草履
経験値:9999 次のLvまで0
預金:0コメル

「これは、また」
「驚かされるな」
 アロウン、フェンリルと声を上げ、やはり他の者も感嘆する。
 特に全魔法効果上昇と、多重魔法と融合魔法の両方の特性を持つあたり、他の魔術師達とは違っていた。
 そのままサクヤは元の位置へと戻って行く。
「次にケリー」
 ケリーが緊張した表情で歩み出る。
 何せ彼にとっては雲の上の面々が居る中で自分の能力値を開示するのだ。
 緊張は並々ならぬものであった。
 その緊張の中、カードを取り出し能力値を表示する。

ケリー
Lv:79
年齢:19
筋力:SS
体力:SS
魔力:C
敏捷:SS
器用:SS
精神:SS
運勢:A
称号:不死殺し(アンデッド・キラー)、竜殺し(ドラゴン・バスター)、探索者ギルド特別工作員
特性:魔力操作、隠密行動、思考加速、剣技上昇、炎耐性、水耐性、土耐性、風耐性、毒耐性
祝福:戦神アレス
職業:剣皇
装備:ヒヒイロカネのディラク刀“桜花”“散葉”、オリハルコンのロングソード×2、オリハルコンのブレストプレート、ミスリル絹のシャツ、ミスリル絹のズボン、翼竜の革の靴
経験値:7802 次のLvまで98
預金:123060コメル

「ふうむ?」
「こりゃあ?」
 アルスとノブツナが声を上げ、他の面々も困惑する。
 S級相当探索者としてはかなりの能力値ではあるが、刀神の弟子というには少々物足りなさを覚える。
 僅かに刀神の名残を見出せるとしたら、そのヒヒイロカネのディラク刀二本であろうか。
 だが、ここにいる面々は知らないとはいえ、ケリーがクロウに鍛えられたのは僅か一ヶ月。
 その短期間で驚異的な成長を望む方が無理があろう。
 僅かに恥じ入りながらケリーは元の位置へと戻っていく。
「次はマリーニア」
 マリーニアがどこか萎縮しながらも中心へと歩を進め、能力値を表示したカードを差し出す。

マリーニア
Lv:77
年齢:20
筋力:B
体力:B
魔力:SSS
敏捷:SS
器用:SS
精神:SS
運勢:S
称号:不死殺し(アンデッドキラー)、探索者ギルド特別工作員、占師
特性:魔力操作、隠密行動、思考加速、思考分割、魔法上昇、高速詠唱、無詠唱、光属性、魔属性、炎耐性、水耐性、土耐性、風耐性、毒耐性、占術
祝福:光神ヴァレリア
職業:魔賢帝
装備:真実の杖、ミスリル絹のローブ、ミスリル絹のスカート、翼竜の革の靴
経験値:7654 次のLvまで46
預金:123060コメル

「なるほど占師に占術か」
「星詠みの由来だね」
 グラナルがマリーニア固有の称号と特性に注目し、カイトも頷く、他の面々も納得したように頷いていた。
 他の者が持たない固有の称号と特性を持っているということは、それだけで瞠目に値する。
 そのままマリーニアは萎縮しながら元の立ち位置へと戻っていった。
「それでは次に更科真紀」
 真紀の名が呼ばれ、真紀は中心へと立つ。
 なにせ異世界の勇者などという眉唾ものの存在だ、何をするのかと注目が集まる。
「それじゃあ、私もこの世界の魔王殿に倣わせて貰おうかしら」
 そう告げると、真紀はアラストリアにおいて手に入れた、異世界の勇者の力を全力で解放する。
 一瞬の沈黙後、広がる力の波動。
 単純に強力なプレッシャー。
 それは魔王サイネリアや竜皇ドラグゼスに匹敵するものであった。
 流石に圧倒的なプレッシャーの連続に慣れたのであろう。
 膝を着く者はいなかったが、スレイ達以外の誰しもが冷や汗を掻いていた。
 そして真紀が力の波動を治めると共に、誰しもが安堵に吐息する。
 そのまま真紀は元の位置へと戻っていく。
「そ、それでは次に、神代出雲」
 出雲は中心へと立ち、一言告げた。
「行く」
 瞬時に広がる力の波動。
 真紀とは質が違うが同等のそれに、心構えもできずに曝された面々は硬直し、やはり冷や汗を垂らす。
 そして出雲は波動を治めると、そのまま戻っていった。
「つ、次はセリカ・J・スミス」
 セリカがやり難そうにしながらも中心へと立つ。
「それじゃあ芸が無いけど、私も前の二人と同じ事をするわね」
 そしてやはりセリカも異世界の勇者の力を全開で解き放った。
 やはり魔王や竜皇に匹敵する力の波動。
 それに面々は慣れたとはいえ冷や汗を隠せない。
 そしてセリカは波動を治め、そのまま元の立ち位置へと戻る。
「それでは次にスレイ」
 ようやくここまで来たかと思いながらゲッシュはこの後に起こるだろう騒動を思いやはり胃を痛める。
 スレイは頭にフルールを乗せ、ディザスターを足下に従えたまま中心に立つ。
 一同の殆どは、市井の探索者でありながら刀神クロウと引き分けたというスレイを、どこか懐疑的に見ている。
「やはり俺も能力値を見せなければ駄目か?」
「ああ、頼むよ。他の方々も見せているのだから、君だけが見せないという訳にはいくまい」
 ゲッシュに言われ、仕方なさげにスレイはカードを取り出す。
 そして渋々といった感じで能力値を表示し差し出してみせた。

スレイ
Lv:43 
年齢:18
筋力:A
体力:S
魔力:A
敏捷:SSS
器用:SS
精神:EX
運勢:G
称号:不死殺し(アンデッド・キラー)、神殺し(ゴッド・スレイヤー)、双刀の主
特性:天才、闘気術、魔力操作、闘気と魔力の融合、思考加速、思考分割、剣技上昇、刀技上昇、二刀流、無拍子、化勁、明鏡止水、無念無想、心眼、高速詠唱、無詠唱、炎の精霊王の加護、炎耐性、毒耐性、邪耐性、神耐性
祝福:無し
職業:剣鬼
装備:双刀“紅刀アスラ”“蒼刀マーナ”、鋼鉄のロングソード×2、ミスリル絹のジャケット、ミスリル絹のズボン、牛鬼の革のスニーカー
経験値:4202 次のLvまで98
預金:7000コメル

「れ、Lv43の中級職!?」
 アルスが唖然とする。
「それでクロウ様と引き分けた?」
 唖然とするマグナス。
「そ、それよりも炎の精霊王の加護っていったい何処で炎の精霊王に会ったというの!!?」
 マリアなど今にもスレイに詰め寄りそうな勢いである。
「はっ!?」
「なっ!?」
「えっ!?」
 職業:勇者の面々はただ呆然とするのみだ。
「これは……フェンリル、お前は知っていたのか?」
「いえ、クリス爺とアース爺から聞いていたので多少の予想はしていましたが、まさかこれほどとは。剣技のみならず魔法系の特性まで……」
 アイスに問われ答えるフェンリル。
 事前に多少の心構えがあったのだが流石に驚きを隠せない。
「つーか、こんだけ刀術系のスキルがあるたぁ」
「すごい」
 ディラク刀最高の剣士ノブツナとその父を良くしるシズカの父娘をして驚愕するのみだ。
「ダリウス……精神:EXなど聞いたことはあるか?」
「いえ、噂にすら聞いた事も無いぜ。というか俺としては運勢:Gってのが」
 ただ驚いたままダリウスに聞くカイト。
 聞かれたダリウスは答えつつもどこか同類を見る視線をスレイに向ける。
「ヴァリアス、特性:天才って何でしょうか?」
「い、いえ。私もそのような特性など聞いた事もなく」
 イリュアの質問に呆然としたまま答えるヴァリアス。
「つーか無茶苦茶だな、闘気と魔力の融合ってなんだそりゃ?」
「長年生きて色々な経験をしてきたが、この年になってこれほど驚かされようとはのう」
「神殺し(ゴッド・スレイヤー)とはいったい何をしたのだろう?」
「邪耐性と神耐性という特性も考えると、その称号は恐らく邪神の一部を倒した事で身につけたと思われますが、何にせよ前代未聞ですね」
 グラナル、オウル、ブレイズ、アロウンとやはり唖然としている。
「この男が私の毒に耐えられるって男かねぇ?」
 ミネアの興味はスレイが自らの毒に耐えられるかどうかにあった。
「スレイの野郎、とんでもなく成長しやがって」
「アッシュから話には聞いていましたが……これほどなんて」
「と、いうか彼が探索者になってからまだ数ヶ月だろう?」
 竜皇とその娘達すら驚きを隠せない。
「ねえ、シャルロット。貴方はあまり驚いてないみたいだけど何故かしら?」
「ふむ、妾ほど長生きすれば色々と知っておりますからの」
「私も何となく話で聞いたことはあるような気はしますが……」
「正直、私のような若造は全く心当たりがありませんな」
 闇の種族では約5000歳のシャルロットが何か知っているような思わせぶりな台詞を吐き、約3000歳のリュカオンが僅かに何か心当たりがあるような記憶を探るような表情をしている。
 なんにせよ、場はスレイの能力値の無茶苦茶さに一気に空気を変えていた。
「しかしその双刀、紅刀アスラと蒼刀マーナというのは以前私がゲッシュ殿に売ったものだね。少し見せてもらっても構わないだろうか」
「止めておいた方がいいぞ」
 アルスをスレイが制止するが僅かに遅く、刀の柄に触れたアルスの手が刀に拒まれ弾かれる。
「痛っ!」
 思わず顔を歪めるアルス。
「こいつらは主を選ぶ刀だからな。俺を主に選んだ時点で他の人間には触れる事もできなくなってる」
「確かその双刀は伝説レジェンド級だったと思ったのだが、そんな機能があったのかね?」
 不本意そうに震えるアスラにマーナ。
 スレイは分かったというように刀を軽く叩き、柄を握ると僅かに双刀を引き抜いて見せる。
 途端禍々しい強大な深紅のオーラと禍々しい強大な蒼いオーラが場を覆い尽くした。
「なっ!?」
 誰もが驚愕するが、特にアルスの驚愕は大きい。
「わ、私が手に入れた時にはこれほどの力は無かった筈!?」
「こいつらは成長する刀でな、紅刀アスラは敵の血を啜り、蒼刀マーナは敵の精神を喰らい、際限なく成長していくのさ。だから以前と別物なのは当然だな」
 その魔刀・妖刀と言っていい類の能力にアルスは勿論、他の面々も畏怖の視線を向ける。
 スレイは双刀を鞘に完全に納める。
「なんにせよ、俺の頼もしい相棒達さ」
 スレイに応えるよう双刀は嬉しそうに震えた。
 そして最後はスレイが場を完全に喰らい、それぞれの力の確認は終わったのだった。


面白いと思ってもらえたらどうぞ宜しくお願いします。



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