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  シーカー 作者:安部飛翔
第四章
7話
「それでは次は私たちかな?とはいえアリサは全く何の能力も無いので除外して、私とダリウスということになるね」
 そう言うとカイトが中心に進み出る。
「それじゃあまずは私から。SS級相当探索者の皆さんの後に見せるにはお粗末で恥ずかしい限りなんだが、そこは勘弁してくれ」
 そう言ってウインクして見せると、カイトはカードを取り出し能力値を表示する。

カイト
Lv:85
年齢:40
筋力:A
体力:B
魔力:B
敏捷:S
器用:SSS
精神:SSS
運勢:EX
称号:不死殺し(アンデッド・キラー)、竜殺し(ドラゴン・バスター)、見習いバーサーカー、フレスベルド商業都市国家議会・議長
特性:狂化×3、思考加速、戦技上昇、炎耐性、水耐性、土耐性、風耐性、毒耐性、光耐性、闇耐性
祝福:商神ギルス
職業:聖戦士
装備:オリハルコンのロングソード、ダマスカスの弓、アダマンタイトのブレストプレート、アダマンタイトの大盾、ミスリル絹の服、ミスリル絹のズボン、牛鬼の革靴
経験値:8440 次のLvまで60
預金:0コメル

「この能力値の偏りは」
「流石は“商王”だな」
「運勢:EXとは驚きました」
 アロウンが興味深げに呟き、感心したようにグラナルが言い、ブレイズが驚きを露にする。
 そんな中スレイは地に両膝と両手を着き項垂れていた。
「運勢:EX……いや、いいんだ。俺の運勢は強敵を引き寄せるものだからいい筈なんだ。だが、なんだこの敗北感?」
 小さな声で呟くスレイ。
『主!どうした!?大丈夫か!?』
「スレイ!傷は浅いよ!!立ち上がるんだ!!」
 ディザスターとフルールがスレイに呼びかける。
 そんな三者を探索者ギルド組が、いったい何をやっているんだか、と呆れたように見ていた。
「それじゃあ、次は俺かな」
 そういってダリウスがカイトと交代に中心に歩み出る。
 そしてカードを差し出し能力値を表示した。

ダリウス
Lv:98
年齢:38
筋力:SSS
体力:SSS
魔力:SSS
敏捷:EX
器用:EX
精神:SSS
運勢:F
称号:不死殺し(アンデッド・キラー)、竜殺し(ドラゴン・バスター)、神剣の主、剣術を極めし者
特性:闘気術、魔力操作、思考加速、剣技上昇、光属性、炎耐性、水耐性、土耐性、風耐性、毒耐性、光耐性、闇耐性
祝福:戦神アレス
職業:剣皇
装備:神剣マルス、オリハルコンのブレストプレート、オリハルコンのバックラー、光竜の革のジャケット、光竜の革のズボン、光竜の革靴
経験値:9999 次のLvまで0
預金:0コメル

「なんと!」
「こりゃあ」
「おお!!」
 さしもの、クロウとノブツナが唸った。
 それもそのはず、二人を以ってしても驚愕させるだけの能力値である。
 二人と同じくダリウスもただのSS級相当探索者という枠を越えていた。
 そんな中、一人スレイのみが瞳を輝かせ、仲間を見るような目でダリウスを見ている。
 その視線に気付き、不思議そうにしながらもダリウスは元の位置へと戻っていく。
 背中に漂う苦労人の哀愁にスレイは憧れの視線すら向けていた。
「それでは次は私達かな?」
 そう告げドラグゼスが進み出る。
 一緒にイリナも進み出ていた。
「それじゃあすまないが、皆さんここから、そう半径500メートルほど離れて頂けるだろうか?」
 その言葉にドラグゼスとイリナのみを残し、全員が周囲に散っていく。
 ドラグゼスとイリナも互いの距離を十分な程に開く。
「それでは、イリナ!」
「おう!」
 そして二人の姿が光に包まれ、巨大なものへと変化していく。
 膨れ上がる光。
 そして光が収まった時、そこには全長300メートル程の漆黒の竜と全長150メートルほどの漆黒の竜が佇んでいた。
 周囲の者達が、野次馬の兵士達も含め、驚いたような声を上げる。
『それではいかせてもらう、皆さん準備は大丈夫かな?』
『気絶しちまってもしらないぜ!』
 念話が響き渡り、二頭の竜は空を仰いだ。
 空には先程のリュカオンの遠吠えで一部に穴の開いた雲がある。
 そして。
 一瞬の沈黙。
 竜の咆哮が響き渡った。
 その衝撃とプレッシャーに殆どの者が地に伏せる。
 全く平然としているのはスレイと二匹のペットくらいのものであろう。
 流石に称号:勇者達やSS級相当探索者達に闇の種族達、それに異世界の勇者達は地に伏せる事無く立ってみせているが、そのプレッシャーに冷や汗を隠せない。
 そして咆哮が収まった時、空にあった雲は全て消し飛び、ただ青い空があった。
 欠片ほどの雲も残っていない。
 リュカオンの咆哮とは格が違った。
 まあ、以前にイリナが咆哮で山を消し飛ばすのを見たこともあるスレイとしては驚くことでも無かったが、どちらかと言えば、今となってはプレッシャーすら感じなくなっている自分自身にこそ驚いていた。
 そして二頭の竜が光に包まれる。
 縮まっていく光。
 そして光が収まるとそこには二人の父娘が立っていた。
 その傍に集まっていく一同。
 ドラグゼスが呟く。
「ふむ、すまないアルス殿、今の咆哮でどうやら城にダメージを与えてしまったようだな」
 城の壁や周囲の様々な所に罅が走り、特に練兵場は、竜達が立っていた地面に亀裂が走り、酷い事になっていた。
 流石に蒼褪めるアルス。
「エリナ」
 だがドラグゼスは落ち着いてエリナを呼ばう。
 呼ばれたエリナはこくんと頷く。
「それでは、丁度良いので、エリナの力も見て頂きましょう」
 そしてエリナが光に包まれた。
 かと思うと城中が光に包まれていく。
 練兵場もまた光に包まれた。
 そしてみるみる間に罅が、亀裂が、消え去っていき、光が収まると、竜の咆哮により刻まれたダメージは全て消え去っていた。
「む、無機物を治癒魔法で癒したの!?」
 あまりの非常識な出来事に、サクヤが驚いたように叫ぶ。
「わ、私の操る時間魔法には、物体の時間を巻き戻し、状態を回復させるという魔法もありますが、この場合は全く違う。正真正銘ただの治癒魔法で無機物を“癒して”回復させている」
 アロウンも驚愕を隠せないでいる。
「出雲、あなたこれできる?」
「ううん、無理。別の方法ならある。だけどこれは無理」
 真紀の質問に、一つの世界の魔法体系を極めた大魔導士である出雲すらが不可能と断ずる。
 他、少しでも魔法の知識があるものは、ただその非常識さに驚くだけであった。
 竜達の咆哮が引き起こした破壊は、手段さえ選ばなければ、SS級相当探索者以上になれば不可能ではない。
 軽く山河を砕き、地形を変える程の力を、皆持っているのだ。
 だからこそ、竜達が成した破壊よりも、エリナの“癒し”の力こそに誰もが驚愕を感じる。
 スレイも僅かに驚きの視線をエリナに向けた。
「“癒しの竜皇女”、か。本気でアッシュは無謀だな」
 軽く肩を竦めると、友人に対し、まあ頑張れ、と心の中で再度無責任なエールを送るのだった。

 少し経ち、場が落ち着くと、ノブツナが中心に進み出て言う。
「そいじゃあ次は俺の番だな、ようく見てくんな」
 そしてカードを差し出し能力値を表示する。

ノブツナ
Lv:98
年齢:40
筋力:SS
体力:SSS
魔力:C
敏捷:EX
器用:EX
精神:SSS
運勢:SS
称号:不死殺し(アンデッド・キラー)、竜殺し(ドラゴン・バスター)、降神刀の主
特性:闘気術、魔力操作、思考加速、剣技上昇、刀技上昇、無拍子、明鏡止水、心眼、神属性、炎耐性、水耐性、土耐性、風耐性、毒耐性、光耐性、闇耐性
祝福:剣神フツ
職業:剣皇
装備:降神刀フツノミタマ、ヒヒイロカネの武者鎧
経験値:9999 次のLvまで0
預金:5023958コメル

 流石の能力値だが、彼の場合有名であるが故に、その力が広く知られているので、新鮮な驚きは無い。
「ふんっ、進歩が無いのぅ、クソ息子」
「なんだとクソ親父!!」
「父上!!お爺様!!」
 クロウが罵倒しノブツナが睨み返し、二人はシズカに諌められる。
 そして場を呆れさせながら、ディラク島最高の剣士の能力値の公開は終わるのだった。


面白いと思ってもらえたらどうぞ宜しくお願いします。



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