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[政治]ニュース トピック:主張
【主張】「原発」ステップ2 再稼働への工程表も作れ
東京電力福島第1原発事故の収束に向けた工程表前半「ステップ1」の総括と後半「ステップ2」の内容が発表された。最重要課題の原子炉の「安定的な冷却」は、目標の3カ月以内に実現できた。困難を克服しての達成を評価したい。
炉心溶融を起こした3基の原子炉を今後、3~6カ月程度で「冷温停止状態」に移行させることが、ステップ2における最大の課題となる。
前例のない展開となった事故の収束作業は放射能汚染との戦いだ。その取り組みを世界が注視している。東京電力と政府には着実な前進と明快な情報公開を期待したい。
ウラン燃料の残留熱を冷やすために、かけ流しにされた水が放射能汚染水として増え続け、一時は海への流出が心配されたが、浄化システムを組み込んだ「循環注水冷却」で危機を回避した。
現在、1~3号機の原子炉内の水温は100度に近づいている。ステップ2では、できるだけ早く100度未満に落ち着かせ、冷温停止を実現してもらいたい。
ステップ1では、3基の原子炉格納容器内への窒素ガス封入も実現した。危険な水素爆発の可能性は、ひとまず遠のいた。
現場で懸命の作業に従事している人々の労苦をねぎらいたい。彼らの放射線被曝(ひばく)量の管理はこれからの大きな課題だ。8月の熱中症対策も今後の進捗(しんちょく)を左右する。
避難住民が段階的に元の暮らしを取り戻せるよう、原子炉安定の努力を前倒しで進めてもらいたい。ステップ2の開始で、年明けをめどとする一応の収束への期待が、ほの見えてきた感がある。
これに対し、国内の原発の運転利用状況は、日を追って悪化している。発端は菅直人首相による中部電力浜岡原子力発電所への運転中止要請だ。突然、発表されたストレステスト(耐性検査)など2段階からなる安全評価の新規導入も、原発の再稼働の遅れに追い打ちをかけた。
13カ月ごとの定期検査入りで発電中の原発が減っている。その中で関西電力大飯原発1号機がトラブルで停止した。今夏の近畿圏への影響は大きい。深刻な電力不足が暗い影となって日本列島を覆い始めた今、再稼働への工程表も必要だろう。政治的延命のみを考え、自ら招いた事態を座視し続ける菅首相の責任は重大である。
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