適度に都会で、自然に恵まれ、食べ物も美味しい、福岡は日本でもっとも暮らしやすい街の一つ、などと言われます。
その一方で、全国的に見ると犯罪の発生率が非常に高くなっています。
福岡で多発している犯罪などの事例に、あえて焦点を当てるシリーズ「どうなってるんだ!福岡」きょうは第1回目として「性犯罪」を取り上げます。
「心の殺人」とも言われる性犯罪、福岡県は、全国最悪レベルの多発地帯となっています。
●被害にあった女性
「バスに乗ってて、隣に男の人が座ってきて、ずっと(お尻を)触られてました」
●Q声とかは出せなかった?
「出せなかった。怖かったから」
●被害にあった女性
「後ろからチャリが来て、(胸を)触られて。親にもそういうこと話せんけん。話せないまんまで、誰にも言ってなかった」
福岡市の天神で若い女性に話を聞いてみると、程度の差はあるものの、必ずと言っていいほど何かしら性犯罪の被害にあったことがあるという答えが返ってきました。
『女性が安心して歩けない街』、福岡県は、そう言っても過言ではないくらい、性犯罪が横行しています。
特に多いのが、強姦や強制わいせつという卑劣な犯罪です。
県警のまとめによりますと去年、福岡県内で発生した強姦事件は届け出があっただけでも76件、5日に1人の女性が被害にあっている計算です。
また、人口10万人あたりの発生件数は大阪についで全国ワースト2、3年前までは4年連続で全国ワーストでした。
●判決言い渡し
「被告人を懲役26年に処する」
今年5月、強姦や強制わいせつなど17の罪で懲役26年の刑を言い渡された松田良太受刑者。
おととしから去年までの1年間に、福岡市などで16人の女性に性的暴行などを繰り返していました。
犯行の手口は、卑劣で残酷です。
●犯行手口
「自転車で帰宅していた女性に目をつけ、自宅の駐輪場までつけて行き、後ろから抱きついて口をふさいだ上、性的な暴行を加える」
「人通りの少ない公園に女性を連れ込んで、『刺すぞ』などと脅して抵抗できなくさせ、襲う」
好みの女性を見つけるとつけて行き、犯行を繰り返していた松田受刑者、中学生にも容赦なく手をかけていました。
被害にあった中学生は、PTSD=心的外傷後ストレス障害になるなど、今も重い後遺症に苦しんでいると言います。
●博多警察署刑事第一課・宮野佳子警部補
「学校に行くのも怖い。家から出るのが怖い。誰かお母さん、お父さんがいないと、やはり1人では行動できなくなってしまうと。親御さん自身も1人で外に出さなければ良かったとか、本来、悩まなくていいところまで悩んでしまうと」
突然、犯罪に巻き込まれたショックから、被害者が泣き寝入りをするケースが多いのも性犯罪の特徴です。
●被害にあった女性
「怖いとかじゃなくて、ビックリして声も出ないみたいな」
こちらの女性は、自宅マンションのすぐ近くで男性にいきなり精液をかけられました。
●被害にあった女性
「マンション出て、そしたらおじさんがいて、1人で。それで自転車か何かに乗ってて、何か『あー出る』とか言ってかけられまして。それからそこ通るたびに思い出すっていうか、自転車とか乗ってる人自体がもう嫌になったりとか、その世代の男の人がもう無理になったりとかありますよね」
ほかの県から引っ越して来たという女性に話を聞くことができました。
福岡で暮らすようになってから初めて、性犯罪の被害にあったということであまりの多さに驚いてます。
●Q地元にいるときと、こっち来てからは違います?
●被害にあった女性
「全然違う。本当に違う」
●Qそういう危険な目って、地元じゃ、あったことなかった?
「ない、ない」
「ちょっとやそっとじゃ驚かなくなった最近、本当に」
また、福岡で性犯罪の被害にあい、県外への引っ越しを余儀なくされた女性もいました。
●博多警察署・宮野佳子警部補
「もう福岡という名前を聞くだけで恐怖。『福岡には行きたくありません』というぐらい、被害者の精神的負担は大きい犯罪ですね」
節電の雰囲気が高まっていることもあり、夏の夜、窓を開けて寝る女性が多いかもしれませんが、とても危険です。
オートロックのドアをかいくぐり、鍵の開いた玄関から侵入したり、高層階の部屋でも、ベランダづたいに移動して窓から侵入するなど手口は、どんどんエスカレートしています。
また、女性が被害にあっていることに気がつきにくい性犯罪も横行しています。
盗撮です。
特に多いのが、満員電車や書店での犯行です。
立ち読みや携帯メールなどに集中しているため、撮影されていることに気がつかないのです。
●博多警察署・宮野佳子警部補
「動画モードにして、撮影ではなく録画をするっていうのが多くなってきていると。近づく前に音を鳴らして、そして近づいて行って撮影して、離れていったあとに、オフにすると」
盗撮の被害を防ごうと、こちらの書店では、先月から女性の利用客が多いコーナーに小さな鏡を取り付けました。
女性客も、鏡があることで、いつもより安心して書店を利用できるようです。
●書店の女性客
「あるだけで、実際の効果うんぬんじゃなくて、やる側にとって、すごいプレッシャーがかかってるっていう面もあるのかなと思います」
性犯罪から女性を守るための、様々な試みが行なわれています。
それでも犯罪は一向にあとを絶ちません。
『女性は安心して街を歩くことすら出来ないのか?』福岡の女性は憤っています。
●福岡の女性
「あきれますね。常識人であるはずの人が常識をわきまえてない。どれが常識か分かんないです」
「1回、そういう経験をしたら、『なんでここを怖がって走らなきゃいけないんだろう』って思って。何もなかったら歩いて帰れるのにって思う」
女性や子どもを力で封じ込め、心も体もズタズタに引き裂く性犯罪、嘆かわしいことに福岡は、全国でも最悪レベルの多発地帯なのです。