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「秋以降もやるつもりか」に首相、憮然の表情

 2011年度第2次補正予算案の基本的質疑が行われた19日の衆院予算委員会で、自民党は東日本大震災の復旧・復興策が遅れているとして、菅首相らを厳しく追及した。

 政府側には対策の遅れや、調整不足を認める場面が相次ぎ、本格的な復興策を盛り込む第3次補正予算案の編成に向け、政府の態勢立て直しが急務となっていることを露呈した。

 「『復興プラン』などと言う前に、当然やるべき当たり前の作業が遅れている」

 自民党の茂木敏充氏は、政府の震災対応の現状を強い口調で非難した。

 茂木氏がまず指摘したのは、5月に成立した第1次補正予算に盛り込まれながら、予算の執行が進んでいない事業の存在だ。1次補正にはがれき処理に3626億円、壊れた公立学校施設の補修費に962億円が計上されたが、被災自治体に既に予算が付けられたのは、がれき処理費が208億円、補修費9億7000万円しかない。

 しかも、茂木氏は、がれき処理では16市町村からの要望に対し、11件が差し戻されていたことを指摘し、「請求の乱発を防ぐための意図的な措置ではないか」とただした。政府は、枝野官房長官が「事務処理の扱いとして適切ではない」と陳謝したほか、首相も「執行が進むように強く指示したい」と答弁するなど、対応の遅れを認めざるを得なかった。

 政府内の調整不足は、被災地のがれき置き場などで大量発生しているハエや蚊などの害虫駆除で露呈した。

 5月24日に松本環境相(当時)は、害虫駆除対策を、災害廃棄物処理事業の補助対象にする意向を表明したが、茂木氏は「3日後に(補助事業の)対象外とも取れる課長通達が出されていた」と、江田環境相を追及。江田氏は「就任したばかりで事情はつまびらかでない」と答弁に窮し、善処を約束した。

 さらに、茂木氏は、河川・道路・下水道、全半壊した学校や病院などの復旧を列挙し、「なぜ2次補正に計上しないのか」と迫った。首相は「本格復興は3次補正での対応になる」と答えたが、「あなたから3次補正の話は聞きたくない。秋以降も首相をやるつもりか」と切り返され、険しい表情を浮かべた。

2011年7月19日21時08分  読売新聞)

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