テレビのスポーツ観戦で、忙しい数日を過ごした。大相撲とスケジュールが重なっていた上に、進行がこの上なくドラマチックな展開だったので、忙しい時間のやりくりと、日本女子サッカーのごく上等な展開に、この上なく堪能させられたというところである。
あまつさえ、仕組んだとしても、こんなスケジュールがうまく運ぶことはあるまいと思える短時日の展開だった。その上、日一日と盛り上げが増して来ていた。
とに角、偶然の出来だとしても、今回のワールドカップでは結果がわかっているゲームを、この上なく楽しませてくれたのだから、感嘆する以外なかった。
ワールドカップがこんなに面白い結果になるとは、誰も予想しなかっただろうが、午前三時だの四時だのという時間に、同時観戦をあきらめて、日本女子軍の健闘を祈りつつ、寝床に入る。そして、胸の中は期待で一杯だったのは誰も同じだろう。
こうした期待は、子供の頃から現実に裏切られていることに慣れているのだが、なんと、なでしこジャパンのグループは、期待通りの結果を勝ち取っただけでなく、予期以上の結果を手にしてくれたのである。
しかも、その道筋は困難きわまるものだった。そんな影響を受けたわけではないだろうが、魁皇の相撲に元気が足らなくなって来た。
途中で勢いを取り返したと見えた時には、もう四、五日でがっちりまわしを取って出足の鋭さを見せてくれそうだと思ったが、なかなか、ひいきのひき倒しがまじった展開には運んでくれないものだ。
若荒雄とは初顔だというから、魁皇としては、ここまで場所が進んで、しかも、戦い慣れていない相手というのは、いろいろな意味で戦いにくいものだろう。それに相手がはたきに出て来るのは、嫌な取り方だったろうと思う。
把瑠都が大関という地位にふさわしい相撲を取るようになって来た。大柄な体格に似合わない細かな芸に頼る悪癖も次第に影をひそめて、取り口にも安定したものが見られるようになって来た。このあたりで大勝ちをする経験を積んでおきたいところだ。 (作家)
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