若荒雄(左)に引き落としで敗れうなだれる魁皇=愛知県体育館で
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◇名古屋場所(9日目)
(18日・愛知県体育館)
大関魁皇(38)=友綱=は初顔の若荒雄に引き落とされて3勝6敗となり、休場の可能性が高まってきた。大関昇進が懸かる関脇琴奨菊(27)=佐渡ケ嶽=は大関日馬富士に寄り切られ、2敗目。8連覇を狙う横綱白鵬(26)=宮城野=は関脇鶴竜を退けて9連勝とした。
最後の仕切りが始まると、館内のあちこちから例の「カイオウ」「カイオウ」という“魁皇コール”が手拍子とともに起きた。「勝ってほしい」という願い。史上最多となる1047勝を積み重ねた角界の至宝へ、熱い思いは日増しに強くなる。
しかし、応援の声はこの日も悲鳴に変わった。初顔合わせの新鋭、若荒雄との突き合いに、魁皇が土俵に詰まる。棒立ち。「体が伸び上がってしまった。あれだけ伸びると、足もそろってしまう。いいところなしだ」と魁皇は言った。前に落ちない定評がある大関だが、ここでは若荒雄に引かれ、バッタリ落ちた。「足が出ていないので…」。本来なら突いてくる手をうまくたぐる名人芸でまわしを取るのだが、よほど体調が悪いのだろう。
「初日に比べればマシだが、なかなか思うようにならない」ともどかしい。連日、奈良に赴き、治療してきた。満身創痍(そうい)の体だが、一番厳しいのは座骨神経痛。「ある程度、場所中に良くしようとするのは難しいが、治療のおかげでなんとか持っている」という。もっとも化粧まわしを着けると痛みが強烈に襲ってくる。
10日目から始まる大関戦を前に、星勘定が3勝6敗。「それはしょうがないよ」と悔しいが、それが現実。体調が最悪で、休場しても不思議ではない。前日(17日)の魁皇は「もうちょっと頑張らないと」と話したが、この日は「どうしよう。何も考えていない」とした。休場について否定も肯定もしなかったが。
師匠の友綱親方(元関脇・魁輝)は「内容が悪いな。相手が突いてくることが分かっていて対処できない」と見た。休場を心配する報道陣から「話し合うのは明日の朝か?」と問われると「そうだな。魁皇の顔を見てみないと分からないが…」。沈痛な面持ちだった。 (近藤昭和)
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