東京中日スポーツ 55周年企画
55周年イヤーの記念事業や紙面企画をご紹介します
トップ > 中日スポーツ > サッカー > 紙面から一覧 > 記事
【サッカー】<目撃者>選手の力を120%引き出した「お笑いムード」2011年7月19日 紙面から 決勝のキックオフ前、選手たちは笑っていた。実際に見たわけではないが、ピッチに入場する直前、記者席に映し出されたモニター映像の中で、岩清水や宮間たちは笑っていた。大舞台の前に、普通では考えられないことだ。もちろん、米国のほとんどの選手たちはごく普通に集中した様子で、渋い表情をしていたのはいうまでもない。 後で沢に聞くと、試合直前に「宮間が先導して、6人くらいがグイグイダンスとかという『勝利のダンス』を踊ってた。雰囲気を和ませるムードメーカーです」と明かした。 さらにPK戦の前、円陣を組んだとき、何人かの選手が笑っていた。佐々木監督は「何かギャグを一発飛ばそうと思っていたけど、思いつかなくてね。笑顔にしたんだ」と振り返る。また沢は「私はPKを蹴りたくなかったんで、ノリさん(佐々木監督)に『最後にして』と頼んだんです。そしたらみんなから『ズルイ』って声が上がって。だからみんな笑ってたんです」と明かした。 これは決勝に限ったことではない。いつも、なでしこジャパンはそうなのだ。大一番でいかにリラックスするか。気持ちに余裕があると、持てる力を十分に発揮できることを過去の経験から知っていたのだろう。 イングランドに負けた直後もそうだ。何か冗談を飛ばして選手たちを和ませることを考える佐々木監督。ムードメーカーの宮間と大野。こうしたやんちゃな中堅を温かく見守る沢や山郷たち。この柔らかいムードが、選手たちの力を120%引き出したのだ。 この「お笑いムード」は地元ドイツをはじめ、各国記者には不思議に映るらしい。何度も「なぜ?」と聞かれた。 もちろん勝因はそれだけではない。なでしこはパワーや体格では劣るが、テクニックやスキル、運動量で勝る。このチームが優勝したことは、世界の女子サッカーに及ぼす影響は大きい。佐々木監督は試合後、真剣な表情で「今後、女子サッカーはそれぞれの国の特徴を生かしながら、もっと高い技術と高度な戦術が求められるだろう」と語った。今後、なでしこをまねるチームが出てくるだろう。だがその力をピッチで発揮する源、「笑い」だけは、役者がそろわないと難しい。 (原田公樹) PR情報
おすすめサイトads by adingo
|
|