KTX:「山川の運行トラブル、品質の不安定さに起因」
今年に入り発生した36件の事故・運行トラブルを分析
従来型車両は「整備不良に起因」
韓国高速鉄道(KTX)で今年に入って発生した事故や運行トラブル36件について、本紙が専門家の協力を得て分析した結果、KTX山川(サンチョン)=韓国で開発された新型車両=は品質の不安定さ、2004年の開業当時から運行されてきた従来型のKTX車両は整備不良が原因となった可能性が高いことが分かった。
韓国鉄道公社は、昨年3月に導入したKTX山川の場合、今年に入って発生した事故や運行トラブル21件のうち19件は製造段階での欠陥が原因だと結論付けた。電流量調節装置や動力装置の問題によるものが4件、ブレーキや運転装置などの問題によるものが3件、接続や配線の問題によるものが2件など、さまざまな部分で故障が発生した。これに対し、車両を製作した現代ロテムの関係者は「諸外国の例を見ても、導入当初の安定化に向けた段階では、ある程度の故障やトラブルが起こらざるを得ない側面がある」と反論した。
一方、従来型のKTX車両の場合、導入から10年近く経過する中、老朽化が進んでいるため、徹底的な整備が必要であるにもかかわらず、鉄道公社がこれを怠ってきた側面があると指摘する声が出ている。今年に入って発生した運行トラブル15件について分析した結果、電流量調節装置や動力装置の問題によるものが7件で最も多く、またブレーキの故障も3件発生した。このほか、冷却ファンの故障や、ドアがきちんと閉まらなかったケースもあった。鉄道公社によると、従来型のKTX車両(46編成)は、年平均で46万5000キロ以上走行しており、そのほとんどが導入以来300万キロ以上運行されている。
韓国交通研究院のキム・ヨンギュ博士は「約10年もの間、休みなく走り続けた高速鉄道の車両は、一度完全に分解し、一つ一つの部品を細かく点検する必要がある。その際に問題が見つかった場合、新しい部品に交換しなければならないが、鉄道公社はこうした取り組みを十分に行っているか疑問だ」と指摘した。
これに加え、全国民主労働組合総連盟(民主労総)の中でも強硬派とされる鉄道労組と、元警察庁長官の許准栄(ホ・ジュンヨン)社長の対立も、KTXの問題をこじれさせる要因と指摘する声がある。許社長は2009年末、鉄道労組が違法なストライキを行ったのを受け、約1万人に対し重い懲戒処分を行うなど、労組に対し強硬な対応を取ってきた。これに反発した労組は、KTXの事故や運行トラブルを、許社長の経営体制と結び付けて批判してきた。
一方、鉄道公社は安全性を高めるため、利用者が少々の不便な点は我慢する姿勢も必要だ、と注文を付けている。鉄道公社の関係者は「安全のため、少しでも異常が見つかった場合、すぐに列車を止めて点検を行うシステムのため、事故や運行トラブルが多いように感じられるという点も理解してほしい」と話した。これに対し、鉄道技術研究院のキム・ギファン博士は「列車の全般的な整備が不十分な場合、もっと大きな事故が起こり得る」として、KTXに対する全般的な点検をすべき時期だ、と指摘した。
郭彰烈(クァク・チャンニョル)記者