肉牛に与えていた稲わらから放射性セシウムが検出されている問題で、国は原発事故のあとに屋外に置かれていた餌を与えないよう通知しましたが、肉牛を出荷していた福島県内の農家のほとんどがこの通知を「知らなかった」と話しています。福島県は周知が徹底されなかった経緯を調べることにしています。
この問題で福島県が肉牛などを飼育している県内の511戸の農家を対象に立ち入り調査を行った結果、25戸が放射性セシウムを含んだ稲わらを牛に与えていて、このうち14戸が牛を出荷したことが分かっています。原発事故のあとのことし3月19日、農林水産省は屋外に置かれていた餌を与えないよう通知を出しましたが、牛を出荷した14戸のうち12戸はこの通知を「知らなかった」と話しているということです。福島県は通知があった3日後の3月22日に農協のほか、肉牛農家などが所属する合わせて5つの畜産関係の団体に通知文をファックスし、各農家に伝えるよう要請したとしています。一方、県から連絡を受けた団体の1つは、NHKの取材に対し「一軒一軒の農家にファックスすることにしていたが、地震直後で忙しく確認する余裕はなかった」と話しています。また別の団体は「通知には『乾牧草』を与えてはいけないと書かれていたが、『稲わら』とは明記されていなかった。『稲わら』は大丈夫だと思った農家もあるのではないか」と話しています。福島県は連絡をした団体から聞き取るなどして周知が徹底されなかった経緯や背景を調べることにしています。