寄り切りで、同郷の大先輩・魁皇(下)を破る琴奨菊=愛知県体育館で
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◇名古屋場所(8日目)
(17日・愛知県体育館)
大関昇進を目指す琴奨菊(27)=佐渡ケ嶽=は、魁皇に上手を与えず2日目から7連勝。横綱白鵬(26)=宮城野=はうるさい安美錦を圧倒し、大関日馬富士(27)=伊勢ケ浜=も隠岐の海を退けてともに全勝で折り返した。無敗の2人を、把瑠都、琴奨菊、豊真将、高安、富士東の5人が1差で追う。前頭14枚目の高見盛(35)=東関=は7連敗。
同郷・福岡の偉大なる大関、魁皇と通算28回目の対戦。3連敗していた琴奨菊にとって大関とりへ絶対に乗り越えなければならない壁だった。
お互いに左を差して一瞬動きが止まったが、右上手をつかんだ瞬間がゴーサイン。一目散に前へ出て盤石の寄り切りで7連勝。しかも幕内300勝目を「幼いころからあこがれの存在」から奪ったとなれば「誰に勝っても同じ」と素っ気なく話したが、その重みは格別だ。
「毎日テーマを持って臨む」という琴奨菊はこの魁皇戦で心掛けたのは「(右の)上手を取らせない」「小手投げを怖がらない」の2つ。相手に伝家の宝刀を抜かせず、自分の得意の形に持ち込んでいく。勢いの違いは歴然としていた。
高まるばかりの日本人大関待望論。そんな中、プレッシャーを感じるどころか相撲内容は安定感を増す一方だ。
「ここまできたら精神的な部分が大きい。普通ならガーッと燃えるんだろうけど、リラックスできている。何かが違う。でもいい感じ。1日が、めっちゃ早い」と充実の7連勝を振り返った。
勝ち越しのかかる9日目は、8戦全勝の日馬富士が相手。報道陣から明日のテーマを問われ「それは明日考えますよ」と笑顔でかわしてみせた。目安といわれる3場所33勝まであと「5」。最高潮の勢いで難敵撃破に挑む。 (竹尾和久)
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