クリーニング店で蒸気式乾燥機の爆発相次ぐ(上)
昨年7月、忠清南道鶏竜市のクリーニング店で爆発事故が起こった。店主のチョ・ギヒョンさん(51)が、ドライクリーニング用の機械から取り出した衣類を蒸気式乾燥機に入れ、15分ほどたったころ、突然「パーン」という音が響き、乾燥機が爆発した。
乾燥機の扉は吹き飛び、中から火が付いた衣類が飛び出した。火は瞬く間に周辺の商店に燃え広がり、6億ウォン(約4500万円)を超える被害をもたらした。クリーニング店があった建物は、まるで爆撃を受けたかのような状態になった。チョさんは「幸いにも乾燥機から少し離れていたところにおり、命は助かった」と話した。
昨年10月14日には、仁川市西区石南洞のクリーニング店でも蒸気式乾燥機の爆発事故が起こった。その1カ月後には釜山市釜山鎮区釜田2洞のクリーニング店、今年4月18日には京畿道高陽市一山のアイクリーン・クリーニング店、5月7日にはソウル市広津区君子洞の現代クリーニング店で、蒸気式乾燥機の爆発事故が相次いだ。今や、クリーニング業者の間では、蒸気式乾燥機を「爆弾」と呼んでいるほどだ。
蒸気式乾燥機とは、クリーニング店でドライクリーニングを行う際に生じる油が蒸発して生じる蒸気(油蒸気)を取り除く機器で、環境汚染対策として2006年から設置が義務付けられている。保健福祉部(省に相当)によると、昨年6月までに、全国のクリーニング店(約3万1500店)の42.7%に当たる約1万3400店で、価格が200万-800万ウォン(約15万-60万円)の蒸気式乾燥機を設置したという。
問題は、蒸気式乾燥機を設置して以降、爆発事故が相次いでいるという点だ。韓国洗濯業中央会によると、06年から今年5月までに発生した爆発事故は約59件に達するという。同会は「蒸気式乾燥機の中にたまった油蒸気の圧力が高まった状態で、洗濯物の摩擦によって生じた静電気と触れることで爆発事故につながったのではないか」と話している。国立科学捜査研究院は「乾燥機の機械的な欠陥によるものなのか、清掃が不十分といった使用者側の不注意によるものなのか、現時点で判断するのは難しい」と主張している。蒸気式乾燥機の構造的な欠陥が原因だと断定するのは困難だが、同乾燥機を設置して以降、爆発事故が相次いでいるという点で、同乾燥機と一連の事故に関係があることは明らかだ、という指摘が寄せられている。
蒸気式乾燥機の爆発事故が相次いでいることを受け、約90人のクリーニング業者が今月10日、ソウル市鍾路区桂洞の保健福祉部庁舎前に集まり「蒸気式乾燥機の設置を強制する公衆衛生管理法を廃止せよ」と求め剃髪(ていはつ)デモを行った。
- 昨年7月、蒸気式乾燥機が爆発し、見るも無残な状態となった忠清南道鶏竜市のクリーニング店。この事故で、店内は爆撃を受けたかのような状態になり、洗濯機や乾燥機も原型をとどめないほど破損した。/写真提供=クリーニング店爆発事故特別対策委員会