韓国軍:6年前から対策も、いじめ根絶できず

軍は悪しき慣習との戦争を宣言

銃乱射事件が起きた部隊の連隊長、大隊長が解任

 国防部(省に相当)は金寛鎮(キム・グァンジン)長官の指示を受け、軍内部で横行している不条理な行為の実態調査に乗り出した。これは事実上、軍内部の悪しき慣習との全面戦争を布告したものだ。韓国軍当局は、今回事件が起きた海兵隊だけでなく、それ以外の部隊でも暴行やいじめなどが横行しているとにらんでいる。

 2005年に京畿道漣川郡の警戒哨所(GP)内務班で銃乱射事件が発生してから6年間、韓国軍は兵営文化の改善に力を入れてきた。そのため以前に比べると悪習は大幅に改善されたと評価されるが、今回の事件から分かるように、軍での暴行やいじめなどの悪習はいまだに根深く、完全には根絶できていないのが現状だ。

 除隊者たちからは、最近もトイレの便器に頭を突っ込まれ水を流されたり、夜中に起こされて冷水シャワーを浴びせらるケースや、目を開けたままで睡眠を強いられるなど、さまざまな形でいじめを体験したという声が相次いでいる。

 国防部の監査結果によると、09年から今年3月25日まで、海兵隊2個師団では鼓膜の損傷や、肋骨(ろっこつ)骨折、すねの打撲などで治療を受けた兵士が943人に達した。治療に当たった担当医は「これらの負傷はいずれも暴行によって生じたものだ」と語る。

 韓国軍関係者は「一部の軍関係者の中には、軍隊には暴行など強圧的な手段が必要という認識を持っている幹部もいるが、まずはこのような古い考え方から変えていかなければならない」と主張する。金長官など首脳部は「これらの悪習を今回こそは改善しなければならない。それができなければ、二度とチャンスは訪れないという危機意識を持って、兵営文化の改善に取り組んでいく方針だ」と語った。

 韓国軍での銃乱射事件や自殺などは、主に軍への不適応者によって発生している。04年から昨年にかけて、韓国軍で死亡した884人のうち死因のトップは自殺で、これは今も増加し続けている。

 陸軍は兵役への不適応者や自殺の恐れがある兵士を管理するため「ビジョンキャンプ」や「グリーンキャンプ」などを毎年行っている。陸軍は昨年、これら二つのキャンプに1万3000人以上を入所させたが、最終的に1700人以上が服務不適合との判定を受け、除隊した。

 一方、海兵隊は10日、今回の乱射事件が発生した部隊の連隊長と大隊長を解任したと発表した。また、事件の主犯であるキム・ミンチャン上等兵(19)ら2人については、上官殺害、殺人、殺人未遂、窃盗などの容疑で9日に身柄を拘束した。この2人は軍内部で暴行などのいじめを受けたと証言しており、軍捜査当局は、これらの内容の多くが事実だったことをすでに確認している。そのため、いじめを行ったとされる4人からも事情を聴いており、近く逮捕状を請求する方針だ。

ユ・ヨンウォン軍事専門記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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