4試合ぶりに復帰した楢崎も、危なげない勝利に貢献した。いつも通りのビッグセーブは、2−0にした直後の後半14分だった。
ゴール右からフリーで持ち込まると、絶妙の飛び出しでブロック。こぼれ球から狙われたシュートは、素早く立ち上がってはじき出した。直後のCKでヘッドをはね返した後は、もうピンチはやってこなかった。
「負けたら誰のせいになるかと言えば、ね。流れを切らしたくなかったし、チームの波に乗っていきたかった」
6月25日の浦和戦で左手小指の第1関節から骨が飛び出す開放性脱臼。13日の鹿島戦でベンチ入りし、準備万端で先発復帰した。
「2点差は余裕があるようで、油断はできないところやからね。うまく時間を使うことができた」
今季は2点差をつけながら引き分けたり、追い上げられる展開に苦しんだ。それも楢崎のセーブが分岐点となり、「安心して見ていられた」とストイコビッチ監督が振り返る左うちわの試合展開に持ち込んだ。
昨年夏に日本代表から引退したが、運動能力テストで楢崎が、川口や川島をはるかにしのいだのが「復元力」だった。シュートコースが変わったり、2次攻撃への対応の速さは群を抜いた。一発止めただけでは終わらない。山形を消沈させた連続セーブは、今でも日本のトップGKであることの証明だった。 (木本邦彦)
この記事を印刷する