都民のみなさんへ

平成23年7月12日更新
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発言内容

都民のみなさんへ(7月)

 みなさん、こんにちは。いよいよ長く暑い夏が来ました。
 私は夏が好きな男で、夏バテするまでよく若い頃は遊び回っていました。今年は特に、例の大災害の余波で原発が止まってしまうということで、節電というものを本当に強いられる、例年にない夏になってしまいました。
 考えてみると、私たちは、ちょっと贅沢に慣れてきすぎたんで、この辺で、そういう自戒も含めて反省も含めて、節電にみなさん、それぞれ協力していただきながら、当たり前のこととして続いてきたこの物質的な繁栄というものを、自分自身のこととして反省する時期もきたんじゃないかという気がいたします。
 政府が、行政の体をなしていないのは残念な話ですけども、十何パーセント、二十パーセント云々という数字を挙げても、そのためにすべき政令を、かつては、あれは田中角栄さんの時代でしたか、最初のオイルショックが来た時に、具体的に例を挙げて、皆さんに節電をお願いしたものです。今度の政府は、そういうことはやらないです。ばーっと数字だけ言って、みんなに任せるという形で。
 私もある発言をして物議をかもしたかどうか知りませんが、私自身があんまり行かないものだから、雨の日でも朝から傘をさして並んでパチンコ屋の開くのを待っている、一日やっている人の実態というのはよくわかりませんけど。深夜もそうですし、ネオンをつけて、電気をたくさん使いながらやっているというのは、おかしいんじゃないかと。遊びですから、結局あれも。それで食っている人もいるみたいだけど。
 それから、もう一つ、自動販売機。外国にはこんなにたくさん自動販売機は並んでいません。というか、ヨーロッパやアメリカのような先進国の大都市でも、もし自動販売機が置かれていたら一晩でなくなります、強奪されて。それくらい治安というのは頼りない。
 東京はむしろそれを逆証するみたいに、東京だけじゃありません、日本中行っても主な所に、主な所どころか車しか通らない大きな通りにもぽつんぽつんと自動販売機はある。便利といえば便利かも知れませんけど、これは、ちょっと外国では見られない風景で、それが一晩中、明かりをつけているというのも変な話で。
 私は、だから、こういったものは制限したらどうだと言ったら、随分、反発もあったけども、結局、パチンコ業界なんかも言ってきてくれて、「25パーセント以上は必ずやります」と。日本の清涼飲料水を売っている、お酒を作っているある会社でも、これは最初、社長が反発していたみたいですが、はっきり言ったらサントリーだよ。だけど、コカコーラなんかは、アメリカ人の発想なんでしょうか、確かに言う通りだということで、自粛しだしたら、どのメーカーもそれにしたがわざるを得なくなった。
 コンビニエンスストアというのは、一晩中開いているものだからコンビニエント(便利)なのかも知れないけども、それだったらその限りで、あそこに売っているんだから、あそこで買って冷蔵庫に冷やしておけばいいじゃないかと思った。調べてみると、コンビニなんかで売っている清涼飲料水っていうのは、全部が全部自分のものにならない。そこへ行くと、自分で据えた自動販売機というのは、売り上げは全部自分のものらしいんで、それはメーカーにとってみたら、堪えられない話でしょうが。しかし、これは、限られた業界の話で、日本全体の産業というものは、停電、節電で止まってしまって、足踏みしたら国民全体が迷惑するわけです。
 最初ぶつぶつ言った人もいたみたいだけども、そこは日本人の良識で、私はうれしいなと思ったのは、業界の方が言ってきて、「やります」と言ったんです。「私に報告せずに政府に報告してもらいたい」と言ったんですが。二つの業界も自粛するようになりました。
 ですから、国民のみなさん、都民のみなさんも、それぞれの家庭で、できるだけの、一つ節電の努力をしてください。私も、夜、ご飯を食べた後、冷房をかけてテレビを見たりするんだけど、扇風機に代えましたら、扇風機が送ってくる冷気というのは、風というのはいいです。時々吹いてきて、ひやっとして。扇風機の風というのは、冷房の風と体感が違う。あれは、何て言うのか、逆に懐かしいと言いましょうか、非常に肌触りのいい風なんで。一つ、皆さん、扇風機だけじゃなしに、自分で使ううちわも思い出して、昔はこれで過ごしたんだという新しい、実は古い体験をしなおすというのもいいことじゃないでしょうか。
 それから、夏は長い休暇を取る人もいますけども、せっかくの休みだからといって、温度というものを気にして熱中症にだけはかからないように。これは自分の健康管理ですから、私がとやかく申し上げることじゃありませんけども。
 同時に、私は都庁の役人にも言っているんですけど、「せっかく決められた休みなんだから、とにかく休みを積極的に取りなさい」と。上司が休まないから遠慮するという、そんな馬鹿なことはない。働きたい奴は働かせておけばいいけど、みんな実は、遊びたいな、休みたいなと思ってやっているんだから、堂々と休めばいいんだ。特にお役人と言うのは、変な節制と言うか、変な気兼ねで。だから僕は局長も含めて偉い人から、「自分たちが積極的に休まないと下も休めんぞ」ということで言っているんです。
 取るべき休みはちゃんと取って遊んで、心身を充実するということで、また、新しい仕事ができるわけですから、お互いにこの長く暑い夏、自制をしながらも頑張りましょう。

東京都知事 石原 慎太郎