トピック37
横浜市議会事件続報・・・市議二名ついに除名処分

 横浜市議二名(市民の党)が国旗掲揚反対パフォーマンスの続編です。

 

1.新聞記事

 標題の通りです。除名処分について、新聞は大体採り挙げていたようです。新聞記事をアップしましょう。

2市議除名「妥当」 議長席占拠問題朝日新聞 6/22

 横浜市議会の懲罰特別委員会は21日、本会議場での日の丸掲揚に反対して議長席を占拠するなどした「市民の党」の井上桜市議と与那原寛子市議に対し、除名処分が妥当との結論を出した。25日の本会議で採決され、出席議員の4分の3が賛成すれば除名が決まる。委員会で除名に賛成した4会派の全員(70人)が賛成に回れば、4分の3に達する。

  議員資格を奪う除名は地方自治法にある議員への懲罰で最も重い処分に当たる。事務局によると、除名処分となれば、同市会では初めて。

 委員会で除名に賛成した会派は自民党(33人)、民主党(16人)、公明党(16人)、横浜みらい(5人)。共産党(10人)は公開の場での陳謝を提案して反対し、神奈川ネットワーク運動(10人)も「懲罰で問題は解決しない」と、処分の必要はないと反対した。

 自民の嶋村勝夫委員は「自己中心的行動で議員としてあるまじき行為」と発言。民主の谷田部孝一委員は「弁明に反省、謝罪がなく一貫して自分の正当化を図っている」とし、公明の石井睦美委員は「今後も自分たちの意思が通らない場合は、こういう行為を起こすような姿勢が見える」と述べた。みらいの小幡正雄委員も「議会人として恥ずべき行為に反省がない」とした。

 一段軽い処分に最大7日の出席停止があるが、これでは25日の本会議で可決されても議会閉会中に停止期間が終わる。このため、自民などは「実効ある処分」として除名で意思統一を図った。

  一方、共産の荒木由美子委員は「議会制民主主義を否定するもので反省を求める」としつつも、「市民の負託を受けた議員の行為に制限をかける除名には反対」と主張。神奈川ネットの柏美穂委員も「迷惑をかけた市民に反省を示すべきだ」と述べたが、「日の丸掲揚に関する議論など、多数会派の強硬な議会運営が今回の事態の引き金にもなっている。議会制民主主義のあり方を考える上で議員全員が受け止める必要がある」と、処分自体に反対した。

横浜市議会:国旗掲揚に反対し座り込み 2議員除名、失職へ読売新聞 6/22

横浜市議会の懲罰特別委員会(関貞彦委員長)は二十一日、本会議場での国旗掲揚に反対して議長席などに座り込んだ「市民の党」の井上さくら、与那原寛子両市議を、「議会の品位wpおとしめた」などとして、議員資格をはく奪する除名処分とすることを賛成多数で決めた。二十五日の本会議で正式決定の見通し。

 座り込みがあった今月五日の本会議では、議事が六時間近くストップした。

 同市議会事務局によると、除名は地方自治上、最も重い処分。本会議では、在籍議員の三分の二以上が出席し、その四分の三以上の賛成で成立。議長が本人に処分を宣告すると同時に二人は失職となる。

 井上市議らは「有権者に与えられた資格をむとんちゃくに奪おうとする姿勢に抗議する。あらゆる法的手段で対抗する」と話している。

横浜市議会:日の丸掲揚抗議の2市議を除名毎日新聞 6/22

◆議長席占拠で横浜市会特別委

 「市民の党」の井上さくら、与那原寛子両市議による議長席占拠騒動(五日の本会議)をめぐり横浜市会の懲罰特別委員会(関貞彦委員長)は二十一日、両市議の議員身分をはく奪する「除名」の処分を行うことを賛成多数で決めた。

 賛成会派の人数構成から二十五日の本会議での可決は確実な情勢で、除名処分が可決されれば県内では初の事例となる。両議員は「有権者を差し置いて議会で除名を決定するのは法的に可能でも許されない」とあらゆる法的手段を講じる姿勢を示している。

 懲罰委は市会交渉六会派から選出された九人で構成。自民、公明、民主、民主党横浜みらいの四党の委員六人が「除名」処分に賛成した。共産党委員(一人)は「公の場での陳謝が妥当」と別の処分を表明。神奈川ネット横浜委員(一人)は「処分なし」とした。

国旗掲揚反対で議長席占拠(産経新聞 6/22)

横浜2市議を除名へ 25日決定

横浜市議会の議場内での国旗掲揚に反対し、議長席と事務局長席を占拠した市議会会派「市民の党」の井上さくら、与那原寛子両市議の処分について、同議会の懲罰特別.委員会は二十一目、議員の身分を取り上げる「除名処分」とすることを多数決で決めた。本会議の出席議員四分の三の同意が必要で、二十五日の本会議で除名が決定する見通しだ。

同市議会では今定例会から議場で国旗を掲揚することを議会運営委員会で決定。二人は五月二十九日、国旗を無理やり降ろそうとして退場。六月五日には議長席と事務局長席を占拠、約六時間議会を空転させた。

懲罰委では自民、民主、公明、民主横浜みらい市議団の四会派が「議会制民主主義を冒濱する行為」として除名処分を要求。共産は公開の場での謝罪、神奈川ネットが処分なしを主張したが、除名処分が決まった。

横浜2市議「除名」へ・戦後初の厳罰処分(産経新聞 横浜欄 6/22)

市民の党「運営側にも責任」

 前代未聞の議員による議長席占拠騒動を起こした市民の党二市議に対する処分は議員の身分を取り上げる「除名」へ―。二市議の弁明を含む五回にわたる議論を経た 懲罰特別委員会は二十一日、戦後の横浜市議会で初の厳しい処分を決めた(安田浩子)。

 この日の同委員会では、自民が「ルールをつくるべき議員がルールを破るのは許されない。自己中心的で議員にあるまじきもの」と除名を主張。民主や公明、民主横浜みら いも「同じ会派の県議と連携して議場を混乱に陥れた」などとして除名を求めた。

 共産は「懲罰に値する」として公開の場での謝罪を要求したが、除名には反対。神奈川ネットは二市議の行動を地方自治法違反としながら「懲罰を課すことでは解決せず、 今後の議会運営に生かすことが必要」と処分は求めなかった。委員会後に会見した市民の党の井上さくら市議は「私たちの責任とは思えない。当日の運営側の責任もある。 (除名処分は)あってはならない」と反論している。

 処分の決定は二十五日の本会議で記名投票によって行われる。懲罰対象者を除いた議員総数が九十一人。除名を求めた四会派の議員数は計七十人に上り、全員出席して 賛成すれば「出席議員四分の三以上」に相当する六十九人を上回り、除名処分が決定 する見通し。

日の丸掲揚反対「市民の党」 2市議を除名処分 横浜市議会の懲罰特別委
東京新聞 6/22

 横浜市議会本会議場の日の丸掲揚に抗議し、議長席への座り込みなどで混乱させた「市民の党」の与那覇寛子、井上さくら両市議に対し、地方自治法に基づく処分を協議する懲罰特別委員会が二十一日開かれ、賛成多数で両市議を除名処分とすることを決めた。早ければ二十五日の本会議で可決される。

 委員会では、市民の党をのぞく六会派の委員が、両市議の行動や発言について意見を述べた。

 「補正予算審議を遅らせる暴挙」「中田新市長との論戦を期待していた多くの市民を裏切った」などと批判。両市議の弁明も、「反省や謝罪がなく、自分を正当化するばかり」と指摘した。

 懲罰については、自民、民主、公明、共産、横浜みらいの五会派が賛成(神奈川ネットは反対)。処分は共産は陳謝が妥当としたが、残る四会派の賛成で除名とした。

 一方、両市議は取材に対し「負託を受けた議員の身分を奪うもので、許されない」と話した。

 本会議での懲罰議決は記名投票で、出席の四分の三以上で可決される。

市議2人を除名へ神奈川新聞 6/22

◆議長席占拠で横浜市会特別委

 「市民の党」の井上さくら、与那原寛子両市議による議長席占拠騒動(五日の本会議)をめぐり横浜市会の懲罰特別委員会(関貞彦委員長)は二十一日、両市議の議員身分をはく奪する「除名」の処分を行うことを賛成多数で決めた。

 賛成会派の人数構成から二十五日の本会議での可決は確実な情勢で、除名処分が可決されれば県内では初の事例となる。両議員は「有権者を差し置いて議会で除名を決定するのは法的に可能でも許されない」とあらゆる法的手段を講じる姿勢を示している。

 懲罰委は市会交渉六会派から選出された九人で構成。自民、公明、民主、民主党横浜みらいの四党の委員六人が「除名」処分に賛成した。共産党委員(一人)は「公の場での陳謝が妥当」と別の処分を表明。神奈川ネット横浜委員(一人)は「処分なし」とした。

 

 あと、6月18日の神奈川新聞もアップしておきます。

占拠とは認識せず(神奈川新聞 6/18

◆懲罰特別委で2市議が主張

 「市民の党」の井上さくら、与那原寛子両市議による議長席占拠騒動(五日の本会議)の処分を協議する横浜市会の懲罰特別委員会(関貞彦委員長)の第四回会議が十七日開かれ、両市議の弁明などが行われた。両市議は「議長と市会事務局長との話し合いを求めての行動。占拠とは認識していない」と正当性を主張。一方、委員からは「議場混乱を見越した上での計画的な行為」などの批判が相次いだ。

 二十一日の第五回会議で交渉六会派(自民、公明、民主、共産、神奈川ネット横浜、民主党横浜みらい)が処分についての意見表明を行う。謝罪要求を両市議は受け入れないことから各会派は態度を硬化させており、「出席停止」などの重大な処分が下される見通しとなってきた。

 この日の懲罰委では、議場占拠騒動前の本会議(五月二十九日)で、議場に掲揚された日の丸に手をかけて退去させられた井上議員が弁明。「ポールに手をかけただけで、議長の命令もなく身柄を拘束されたのは地方自治法にも反する行為。この問題について議長や市会事務局長に話し合いを求めたが、十分な回答はなかった。そこで五日は議長席と(その隣の)事務局長席で二人を待った」などと説明した。与那原議員は「戦争の原体験から日の丸を受け入れられない人はいる。ひとつの意見を強制するのは反対。議論したかった」と説明。占拠騒動についても「席で待っていただけなのに議長は来ず、没交渉のまま放置されたのは残念」と述べた。

 質疑では「議長が開会宣告し自席に戻るよう言ったのに無視したのは占拠以外の何ものでもない」(公明委員)との疑問が投げ掛けられたが、両議員は「議長は着席しておらず宣告自体、正規のものと受け止めていない」とした上で「ただ結果的に開会であったのならば、議長の指示に従わなかったのは申し訳なかった」などと回答した。

 また、「占拠」との指摘については「席で待っていただけなのに議長は来ず、没交渉のまま放置されたのは残念。六時間もの空転は予測していなかった」と反論した。「実力行使」についても「話し合いの約束さえできればいつでも席を離れるつもりだった」などと否定した。

 こうした答弁を各委員は「思想信条に基づき行動するのは認めるが今回の行動はそのこととは別。議会制民主主義のルールに沿った手続きを踏んでいないのは明らか。反省の言葉が聞けないのは残念だ」(共産委員)、「他人の席に勝手に座っておきながら『占拠ではない』と主張するのはおかしい」(自民委員)などと批判し、議論はかみ合わないままだった。

 【横浜市会が定める懲罰】市会規則に定められており4種類ある。最も重いのが議員職をはく奪する「除名」。次いで7日間を最長とする「出席停止」、「陳謝」、「戒告」となっている。

・・・という事です。日の丸を下ろしたりビラを撒いていた時点では同情する余地もあったけど、この神奈川新聞の記事を読むと、終わっていますね。共産党委員の「思想信条に基づき行動するのは認めるが今回の行動はそのこととは別。議会制民主主義のルールに沿った手続きを踏んでいないのは明らか。反省の言葉が聞けないのは残念だ」につきます。除名は仕方無いかも。

 

2.その他の情報

 市民の党のビラがPeace-TV.comというページにアップされておりました。

 市民の党のビラ

 このページは、ビラをテキストに直したものだそうですが、OCRを使ったのでしょう、「公開質問状」が「公開質間状」になっています。ま、それはいいや。

 Peace-TV.comからリンクされている「平和を求めるご近所さんネット」というページ・・・。なんか怪しげだけど、掲示板に有意義な情報がありました。

 

3.少数会派発言時間の問題について

 この事件を考える際、「少数会派締出し」問題がある事は念頭においておく必要があります。普通、市議会等では会派毎に発言時間が決められていますが、横浜市ではその発言の改正をめぐって、色々とありました。詳細は、共産党横浜市会議員団HPを見て下さい。

 少数会派の発言時間またも削減 民主が提案、自民・公明が多数で

 私は、横浜市議二名(市民の党)が国旗掲揚反対パフォーマンスで、「『今後持ち時間が短くなる』という問題については、詳細な情報がないので、ここで述べる事は出来ません。」と書きました。しかし、上の共産党のページで、具体的な時間が出て来ましたので、分析を試みましょう。

 

 

議員数

改正前

改正後

議員数

比率

持ち時間

比率

持ち時間

比率

自民党

33名

0.36

61分

0.29

72分

0.36

民主党

16名

0.17

35分

0.17

35分

0.17

公明党

16名

0.17

35分

0.17

35分

0.17

共産党

10名

0.11

26分

0.13

22分

0.11

神奈川ネット

10名

0.11

26分

0.13

22分

0.11

横浜みらい

5名

0.05

19分

0.09

11分

0.05

市民の党

2名

0.02

6分

0.03

4分

0.02

合計

92名

1

208分

1

201分

1

 なんだ、比例配分でいけば、改正後の方が理に適っているじゃん。こんなこったろうと思った。上の表でパッと分からない人に解説。持ち時間は、各会派の議員数に応じて与えられるものだから、「議員数の比率=持ち時間の比率」となるのが理想です。しかし現行は、自民党だけが「議員数の比率>持ち時間の比率」となっており、逆に少数派は議席数にしては過大な持ち時間を与えられていた。それが、改正後に正されたという訳。

 とは言っても、市民の党が6分からたった4分に減らされているのは気の毒な気もします。少数派が自民党よりも多くの時間を持つのはさすがに許されませんが、多数派の暴走を防ぐ為には、少数派にもそれなりの時間は与えた方が良いでしょう。しかし、少数派の持ち時間を変に大きくすると、今度は少数派の暴走が始まる可能性があります(なんたって少ない支持で大きな顔を出来るので)。という事で、改正前くらいの数字の方が良い、とう考えも一理あるかも知れません。

 



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