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[ライフ]ニュース トピック:主張
【主張】「放射線」授業復活 知らないから不安になる
目に見えない放射能や放射線を多くの国民が不安がっているのは、基礎的な知識がないことが大きい。昭和56年に実施された学習指導要領で中学で扱っていた放射線の項目が削られたためだ。
ゆとり教育の影響で、この30年間、放射線に関する基礎知識が教えられてこなかった。来春からの中学理科では、放射線について学ぶ授業が復活する。東京電力福島第1原発事故によって原子力への不安が広がるなか、学校教育で正しい知識を学習する意味は極めて大きい。
放射線医学の専門家からも「放射線への理解不足が不安を募らせている」との指摘がある。
指導要領改定は東日本大震災前に決まっていた。新指導要領では、エネルギー資源の利用や科学技術について考える関連で、「放射線の性質と利用にも触れる」とされた。来春からは、シーベルトやベクレルの単位のほか、放射線が自然界にも存在する事実や医療などに利用されていることを取り上げる教科書が登場する。
放射線利用を学ぶことは重要だ。放射線は病気の発見やがん治療、農作物の品種改良、タイヤを丈夫にするなど工業にも活用されている。授業でもこうした利用例を取り上げたい。身近なことがらを通じて放射線の性質を知り、理解を深めることが期待される。先生ももっと勉強して分かりやすく工夫して教えてもらいたい。
学校教育では、放射線について基礎的知識を教えてこなかったのみならず、いたずらに放射能の恐怖をあおる教え方がされてきた。社会科で一部の組合教師が反原発の政治的主張を持ち込み、原爆のほかチェルノブイリ原発事故の被害などをことさら強調して教えるような例があった。
福島第1原発事故後には、避難区域から転校してきた子供へのいじめが問題になった。手本となる大人からしてことさら放射線の影響を不安がり、科学的根拠のない行動や風評被害が絶えない。
福島県矢祭町の小学校では原発事故をきっかけに「総合的な学習の時間」を利用し、放射線に詳しい医師を講師に招き授業を行った所がある。授業後、子供たちからは「放射線はそんなに怖くないことが分かって安心した」という感想があったという。保護者も不安がる前に、専門家の知見をふまえ知識を深めたい。
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