【糸満】糸満市摩文仁で風力発電用風車による地上デジタル放送の受信障害が起きている問題で、所有者の糸満市は19日までに、アナログ放送終了の7月24日から対策のめどが立つまでの間、風車を完全停止することを決めた。杉浦友平副市長が同日、伊保隆一摩文仁自治会長ら役員に明らかにした。今後、障害範囲など詳細を再調査するが、「対応が間に合わない」と判断し、住民の視聴を優先した。
杉浦副市長は、地デジ化を義務付けた2001年の電波法改正が風車設置後で「受信障害の責任が国にあることは明らか」と指摘。その上で、国と調整が付かないまま区民の不安を広げたことを謝罪した。
また、引き続き国に対策を求めるが、「どのような結果になっても摩文仁区民に迷惑は掛けない」と強調。国が責任を認めなくても、共同受信施設の設置や維持管理費については市独自で対応する方針を示した。
市は集落東側を中心に約40世帯が難視聴とみるが、西側でも受信障害があるという。全206世帯の再調査も視野に検討する。伊保会長らは「不安が広がっていたが、これで区民に説明できる」と安堵(あんど)した。
風車は1999~2001年にかけ、国の事業で市観光農園内に3基設置。停止すれば、1カ月で約116万円の損失が出るという。(新垣玲央)