今回、帰省するにあたって、高校の同級生に尋ねました。
おいしいラーメンはどこか、と。
返事は、「ラーメンはね~、あまり行かんけんね~。
渡辺通りのだるまは好きやけど。オータニの裏ね。
だるまはキャナルのラーメンスタジアムにもあるが、若干味違うよ。」
管理栄養士で、自他ともに認める料理上手の彼女が言うならと
信じて行ってきました。
しかし「ニューオータニの裏」という言葉だけを頼りに
行ったのが大失敗で、迷うこと30分以上。
ようやく見つけたのは2階建てのプレハブ、しかも
いまどきなかなかお目にかかれないほどのボロさの店でした。
ただ、道に迷ったことより失敗したのは注文のしかた。
もともと麺は柔らかめが好きで、小麦の味をしっかり味わいたい
私は、博多ラーメンから広まった硬麺志向には以前から批判的。
ましてや「バリ硬」「針金」「粉落とし」などはもってのほかで、
そんなものを注文するヤツは麺の味がわからないのだと
どこかで思っています。
そこでこの店でも注文したのは「普通」。
普通という名で呼ぶからにはスタンダードなのですから
それが店のおすすめであるはず。
ましてや初めて入った店で「普通」を頼まずにどうする、と。
ところが実際にラーメンが提供されてから、2、3枚写真を
撮っているうちにたいへんなことが起きてしまいました。あっと言う間にのびてきたのです、麺が。
見ると、麺は素麺よりも細いのではないかというほどの細さ。
でろんでろんになりつつある麺をあわててすすり、どうにか
事なきをえましたが、今後この店だけはせめて「硬め」で
注文しようと"改心"しました。
スープは背脂が浮いたような博多ラーメンとしては珍しいもの。
この背脂がコクを与えていますが、全体としては臭みもあまりなく
食べやすいスープ。
またチャーシューは巻いて形成したもので、博多の昔ながらの
パサパサチャーシューと最近はやりのトロトロとの中間くらい。
悪くはありません。
九州のセオリー通りの青ネギと、キクラゲも多めにかかり飽きがこない
構成になっています。
ラーメン単品としてとても完成度が高いものとしておすすめです。
さらに今回は、注文したメニューもちょっと失敗。
頼んだのはランチタイムの定食「炙り豚とろテキ定食」(1,000円)。
こってり豚骨のラーメンに脂身の多い、いわゆる豚トロを あぶったものが1枚、でーんとくっついてくるもの。 道に迷ったために空腹をかかえていたとはいえ、出てきた瞬間に 思いっきり後悔するほどのボリューム。もし学生とか肉体労働者で ない限り、これを注文するのは一呼吸おいてよく考えてからにしましょう。
実を言うとこの店、「だるま」のほかに「秀」というもうひとつの ブランドを持ち、場所によって使い分けています。 6、7年前「麺喰王国」という小さなラーメンテーマパークが 渋谷にできたときに「秀」が出店していたのを思い出しました。 あっというまにテーマパークそのものが閉鎖され、 「秀」も評判が定まる前に消えてしまいましたが。 しかし友人が言う通り、この店のラーメンについては想像以上の できばえ。
プレハブの壁一面が取り払われ、透明のプラスチックの トタン(波板)で空間を拡張していますが、そこには有名人の サインがびっしりと。 有名人が来たからといってサインを依頼し、自慢げに張る店も いかがなものかなと思いますが、実際に食べてみるとこの サインの数に納得。 博多ラーメンのひとつの到達点として紹介して恥ずかしくない
福岡市に行くことがあったらぜひ。
この文章は「渋谷とっておき!!」からのものです。
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http://www.totteoki.jp/shibuya/