完全地デジ化まであと2週間足らず…(後編)・ようやく沖縄 のテレビが見られる島(沖縄・大東諸島)
今月24日の完全地デジ化を前に、この地デジ化で大きく変わる島があるのです。
沖縄・大東諸島(南大東島・北大東島) 那覇から東に約360km離れている太平洋上に浮かぶ島で、約100年以上前に東京・八丈島からの開拓団が入るまで無人島だったという。人口は南大東島が約1500人、北大東島が約500人と合わせて約2000人。那覇空港からDHC-8型機(40〜50人乗り)で1日1〜2往復南北大東各空港へ運航しているほか(所要時間は約1時間余り)、那覇泊港から月に数回半日かけて出航しているという。 沖縄以外でも全国ニュースで台風の進路とかによく出てくる名前だし、NHKの全国の天気予報では沖縄では那覇と石垣島と一緒に表示されますね(南大東島の表示が始まったのはBS試験放送が始まった1984年からで、小笠原諸島・父島も同様)。最近ではテレビ朝日「ナニコレ珍百景」、フジテレビ「その顔が見てみたい」、テレビ東京「ありえへん∞世界」(事実とは違うとはいうことで問題になったそうだが)でも話題になったそうですね。 その島がなぜ、この地デジ化で大きく変わるのかというと、 ようやく沖縄県域のテレビ放送が見られるということ。 実は南北大東島はテレビ放送開始がもっとも遅く、1975(昭和50)年にNHK沖縄放送局が放送実験局と称して1日4時間のVTRによるテレビ放送がスタートし、9年後の1984(昭和59)年5月にNHK衛星放送(BS)試験放送開始とともにようやく本土との同時放送がスタート(小笠原諸島も同様)。そして1998(平成10)年には地上波テレビ放送がスタートしたものの、それは東京都が小笠原諸島向けに行ってる通信衛星での受信システム(衛星からテレビ中継局で受信後、地上波で送信)を利用しているため、すべて東京からのものでローカル放送は関東向けのものしか流れませんでした。つまり沖縄県でありながら、沖縄県ローカルの情報はまったくといいほど流れてなかったのです(2007年にNHKラジオ 第1や沖縄の民放AMラジオの中継局が置かれ、そこでようやくラジオのみ沖縄のローカル情報が得られることが可能)。 しかし、完全地デジ化を機に東京都が小笠原諸島に光ファイバーケーブルを敷設し、ケーブルを通して地デジ放送を行うことから通信衛星による受信を打ち切ることになり、同じシステムを利用している南北大東島の地デジ放送をどうするかが問題になった。 そこで総務省と沖縄県などは、沖縄本島と南北大東島の間にある深さ最大約7500mもある琉球海溝の影響や多額の費用がかかるなどでこれまで不可能だとされていた海底光ファイバーケーブルを敷設し、完全地デジ化される今月までに整備することが決まったのです。 そしてようやく海底ケーブルが完成し、先月下旬に総務省沖縄総合通信事務所から南北大東島向けのテレビ放送の予備免許が与えられ、先週4日から試験放送がスタート。完全地デジ化前々日の来週末22日から本放送が始まるそうです。 これにより、これまでNHK東京本局、TBSテレビ、フジテレビ、テレビ朝日しか見れなかったのが、地デジ放送開始でかわってNHK沖縄放送局、琉球放送(RBC・TBS系)、沖縄テレビ(OTV・フジ系)、琉球朝日放送(QAB・テレ朝系)の沖縄県域の放送局がようやく見られるようになるのです。また沖縄ローカルのテレビ放送が見られるほかに、これまで沖縄に系列局がない関係で見れなかった日本テレビ系やテレビ東京系などの一部の番組も見られるようになるそうです。 南北大東島での地デジ試験放送が開始され、同島でようやく沖縄県域のテレビ放送がスタートした先週4日に、琉球放送の夕方ローカルニュース番組「RBC THE NEWS」ではトップで報じたそうですが、そのニュース映像を同局HPからWEB通して見たので、その一部を画像に載せました。 (容量の関係で画像のサイズが通常より小さめになっています。どうぞご了承ください)
これが南大東島の中心地である南大東村在所。
見てるのはTBSで放送されていた「水戸黄門」の再放送。ちなみに沖縄の民放テレビ3局では現在時代劇の再放送が1本も放送されていません。 当然ながら、これまで東京のテレビ局(NHK・TBS・フジ・テレ朝)を見ていたため、沖縄ローカル放送は見ることができなかったという。 これまでは東京のテレビ放送を去年6月まで通信衛星から中継局経由で受信し、その後は全国的に行っているBS(放送衛星)から直接受信するつなぎの難視聴対策事業でテレビを見られたそうです(見ているのはTBSの 「Nスタ」の関東ローカルバージョン)。 沖縄本島から沖縄の新聞(沖縄タイムス・琉球新報)が届くのですが、沖縄の新聞のテレビ欄には沖縄の放送局のテレビ欄(ほかにラジオとBSなど)しか掲載されないため、東京のキー局のテレビ欄は南北大東島でしか見られないため掲載されないそうです。 各家庭には地デジのつなぎ放送を見るためにBSアンテナが設置してみたそうです(通信衛星経由で受信していたころはUHFで放送していたためUHFアンテナで地上波アナログ放送見ていたそうです)。 そして右にVHFアンテナがありますが、これはNHKBSアナログ放送を受信するためのアンテナだそうです。この島ではNHKBSアナログ放送を直接受信してるのではなく、中継局でいったん受信し、VHFチャンネルで放送してるためVHFアンテナで受信して見られるそうです。なお、BSデジタル放送は当然ながら中継局経由での放送は行わないため、個別にBSアンテナ受信して見ることになります。 だからこの島では去年までBSはVHF、地上波はUHFのそれぞれのアンテナで受信してたそうです(これは同じ条件だった小笠原諸島も同様)。 ここでは船がうまく接岸できないため、コンテナなどの貨物だけでなく、小さな船や人までもクレーンで上陸するそうです(人の場合はかごに何人か乗せてクレーンで上げるそうです)。 これが南大東中継局に設置される地デジ放送用アンテナ。こうしてみると大きいですね。 真ん中にあるのが南大東中継局の鉄塔。この島ではこの鉄塔でNHKBSアナログ放送をVHFで、NHKラジオ第1と琉球放送(RBCiラジオ)・ラジオ沖縄(ROK)の地元民放AMラジオをFMで放送しているそうです。地上波放送は南大東島全域に送るほか、北大東島にある中継局へ電波を送る役割も果たしているそうです。 南大東島と北大東島の中継局でのアンテナ設置工事で大きな規模の中継局としては国内最後の設置工事となるそうです(今後、全国的にも小規模の設置やテレビ北海道の北海道東部へエリア拡大に伴う中継局設置工事などがありますけどね)。 これが沖縄本島から南大東島に敷設された海底光ケーブル。沖縄県では宮古・八重山諸島に復帰後の1976(昭和51)年にNHKの同時テレビ放送、1993(平成5)年に民放テレビ放送開始のために沖縄本島〜宮古島に海底ケーブルを敷設したが、今回はそれよりも距離が長く、約40億円も費やしたという。 これがアンテナが設置された南大東テレビ中継局。 てっぺんが地デジ用アンテナ。 今月1日に中継局内での受信テストを行い、無事に成功。これでようやく南北大東島でも沖縄のローカルテレビ放送が受信可能になります。 画面に映ってるのは日本テレビ系でおととし放送された菅野美穂主演の「キイナ」というドラマを2年余り遅れて放送されてました(沖縄には日テレ系がないため、これが地上波初放送)。 今月3日には北大東島でも試験放送が開始されたそうです。 南北両大東島の住民にとってはこれまでほとんど実生活と関係ない東京や関東ローカルの情報ばかりで不自由していたが、これでようやくテレビ放送も沖縄県の仲間入りとあって期待も大きいそうです。 この日、同局では南北大東島対抗の球技大会の模様がその後放送されました。 沖縄でテレビ放送が始まって52年8ヶ月、南大東島でテレビ放送が始まって27年余り、これでようやく沖縄県全域で沖縄県域のテレビ放送がみられるようになりました。ちなみに宮古・八重山地方で民放が見られる様になったのは1993年で沖縄のテレビ放送が始まってから34年たってからでした。その時も国や県の事業で行われたそうです。 |
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