「大相撲名古屋場所7日目」(16日、愛知県体育館)
八百長再発防止へ驚きの通達がなされた。この日までに、幕内の旭天鵬ら複数の力士に、支度部屋でほかの力士との握手を慎むように監察委員会から指示が出た。あらぬ誤解を受けないようにという配慮によるものだが、力士側からは厳し過ぎるとの声も上がっている。取組では横綱白鵬、大関日馬富士が初日から7連勝。高見盛は十両の芳東に敗れて2日目から6連敗となった。
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出番を終えた力士が先輩力士と握手を交わす。そんなほほ笑ましい光景にも、今の角界は気を配っている。6日目の支度部屋で、旭天鵬が同じモンゴル出身の後輩力士とあいさつをした際に握手したことを、支度部屋に入っていた監察委員の親方が見とがめた。
二所ノ関監察委員長(元関脇金剛)は苦々しい表情で「無気力相撲のたぐいがあったわけではない。誤解されるといかんから」と説明した。力士に落ち度がないことは理解しているが、八百長撲滅へ万全を期すための、やむを得ない措置というわけだ。
ライバル同士が握手をすることは、プロ野球やJリーグの試合前など、スポーツ界ではごく自然な習慣だ。握手の短い時間で八百長の打ち合わせをするとは考えにくいが、それだけ協会が八百長撲滅へ力を入れているとも考えられる。
師匠を通じて連絡を受けた旭天鵬は「モンゴルでは、あいさつの時に握手するのが普通だからなあ…」と漏らしながらも指示に従った。相撲では隠岐の海に寄り切られ「もうしんどいわ」と心労をうかがわせた。お互いの健闘をたたえる握手は千秋楽までお預けだ。
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