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「『長時間労働こそ競争力の源』というのは本当だろうか。日本の残業時間は世界トップなのに対し、時間あたりの労働生産性で比較すると現在はOECD加盟国中22位、先進国では最下位。私生活を犠牲にした長時間労働で必死に仕事をしても疲弊してしまい、睡眠不足、体調不良、集中力も上がらぬまま。しかも私生活がないので発想が貧困で、アイデアも出てこない、企画会議をしてもうまくいかず残業続き。個人は疲弊し、企業には残業代がのしかかるという悪循環、そんな状況で、果たして企業は勝ち残れるのか」
こう語るのは、株式会社ワーク・ライフバランス 代表取締役社長の小室淑恵氏。2011年5月18日に開催された第15回ITmediaエグゼクティブフォーラム「新しいワークスタイルが会社を強くする 〜いつでもどこでも社員のパフォーマンスを最大に〜」の基調講演「働き方の多様性で生産性アップ、経営戦略としてのワーク・ライフバランス」での発言だ。
今の日本で、時間あたりの労働生産性が低いのは、高度経済成長時代の常識が今もなお見直されないままであることに起因すると小室氏は指摘する。
「40年前は人件費が安く、時間をかけて働けば利益が伸びた。そうして『当たり前』の商品をより迅速に納品することで他社との差別化ができ、売上アップにつながった。しかし今や日本の人件費は世界トップクラスの高さ。時間をかければかけるほどコストが高くつく。加えて今の顧客は、「当たり前」に慣れていて、もはや迅速に納品するだけでは差別化要因にならない。つまり勝負は、いかに時間をかけず高付加価値を生み出すか、にある」
もう一つ、過去の常識にとらわれている点がある。それは女性の働き方だ。「3歳頃までの間は母親の手許で育てないと子供に悪影響がある」という"3歳児神話"が流布され、専業主婦に対しては税制などの優遇措置がとられ、女性は結婚したら退職、出産・育児に専念する環境が整えられてきた。
今では、この3歳児神話も文字通り神話にすぎず、育児には母親だけでなく父親の関与も重要だと認められるようになった。また、教育費等も高くなり男性一人の収入で育てられる子供の数も変化してきている。だがいまだに日本社会では、夫が働き妻が家庭を守る、という前提の仕組みが残っている。それが、「日本では他国より女性が働かないし子供も産めない」という現状をもたらしていると小室氏は言う。
「母親一人での子育てというのは、精神的にとても大きな負担。ずっと一人で子供の世話をして、夜ようやく寝かしつけたと思ったら、夫が残業から帰ってきて、その物音でまた起きてしまったりする。そうなれば、もう一人育てようなんて気には、ならなくなる」(小室氏)
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